配属先は…

 首都圏支店の発表が終わると、まだ名前を呼ばれていない者たちの表情は固くなっていく。地方支店の名前が読み上げられるたびにあちこちで落胆のため息が聞こえる。強い希望勤務地のない私はその様子をぼんやり眺めていた。

「名古屋支店営業部、日野山大」

 感慨もなく、その発表を聞いた。名古屋は“夜が早い田舎”というイメージで人気は高くなかった。嬉しかったことがひとつある。軽井沢の保養所で私を助けてくれた東京採用組の尾川君が同じ支店に配属となったことだった。

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 本社勤務となった者たちはその場で人事部から説明を受けることになり、支店への配属者たちはそれぞれ新人課長に引き継がれることになった。支店に勤務する新人たちはまず「新人課」所属となる。

 名古屋支店の新人課を担当するのは、藤堂課長だった。研修中から存在感のある人物だったが、近くで見るとさらに圧が増した。背筋を反らせるように歩き、ドスの利いた大阪弁で話す。

「おまえら、移動や」私たちは藤堂課長に黙って従った。空き教室へ入るなり、藤堂課長は椅子にも座らず言った。

「まず最初に言っておく。今後2年間、ほかの支店に行った連中とはいっさい連絡を取るな」

 誰かが恐る恐る言った。