「負けを予想する声があればあるだけ燃えるタイプ」

 後半戦の最初に待ち受けるのは山川泰熙四段だ。

 以前に対局姿を撮影した筆者は、山川四段が“隠れハンサムボーイ”であることを知っており、S6への招集になった。目ざといファンはSNS上で“推しが発掘”されたことを喜んでくれた。

山川泰熙四段 ©小学館/女性セブン 撮影/野澤亘伸

 闘志をむき出しにするタイプではないが、やはり記憶に残るのは西山朋佳女流四冠(当時は女流三冠)が棋士編入試験に臨んだときに、試験官として戦った第2局だ。当時、デビューして半年の山川は公式戦で実力が出しきれておらず、敗戦が続いていた。初の“女性棋士”(棋士と女流棋士では制度が異なる)誕生を期待する世論の前で、西山にはもっとも勝ちやすい相手だと見られていた。

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 しかし、山川は四面楚歌に近い状況の中、渾身の一局で西山を退ける。終局後、関係者や報道陣が退出した対局室に1人残り、盤上を見つめていた。その姿に、人生を懸けて阻止する者がいるからこそ、記録には価値があるのだと思った。

 S6イベントでもSNS上ではファンが対戦の勝敗を予想している。

「今回も下馬評では私の負けを予想する声が圧倒的なようです。でも、そういう声があればあるだけ燃えるタイプなので、いい感じに火がついております」

 いいねえ~、逆境に強い男は格好いい。

「渡辺九段は私が子どもの頃からずっとトップ棋士として将棋界の最前線で戦い続けてこられた方です。盤を挟めることは、今後の自分の棋士人生においてとても大きな意味を持つと考えています。公式戦と同等に捉えて、しっかり準備して臨んでいきたい」

 静かなる意志の強さ。渡辺九段が前半戦で強さを発揮してS6を追い込んだなら、その流れを変えられるのは山川だ。