「課題は10秒将棋、どれだけ悪手を少なく指せるか」
いよいよラスボス・伊藤匠二冠(叡王・王座)の登場である。
藤井聡太六冠と棋界の八大タイトルを分け合い、藤井からタイトルを奪取した唯一の棋士である。多忙な中でもメディアの取材を快く受けてくれるのだが、今回のイベントにも出場することを聞いたときはさすがに驚いた。だって、その2日前には北海道でタイトル戦があり、そこは戻って休養日じゃないのか?
この取材も愛知県で行われたタイトル戦から戻った翌日で、電話の向こうの声はいつもに増してボソボソと低かった。質問を投げかけたが、まだ意識がそこまで辿り着いていない様子である。それでも擦れた声を絞り出すようにして話し始めると、いつもの朴訥で率直な言葉が返ってきた。
「渡辺先生が10秒将棋を6局続けて指されるのは、かなり過酷な状況だと思います。その状況でどのようなパフォーマンスを出されるのかというのが、一番の注目になると思いますね」
――意外ですが、渡辺九段とは公式戦ではまだ対戦がないんですね。
「はい。でも練習将棋では何度か指させていただきました。形勢判断、第一感の指手が非常に正確という印象です。渡辺先生から初めて研究会に誘っていただいたときは、とても嬉しかったです」
――将棋を始めた頃から渡辺九段が活躍する姿を見てこられたと思いますが、目標や参考にされてきた部分は大きいのでしょうか。
「もちろんあります。自分が子供の頃からタイトルを持たれていた方なので、憧れの存在でした。記録係をしたことも何度かあったと思います。感想戦を聴いていても非常に明瞭に読み筋を話されていて勉強になりました」
――これまでの渡辺九段の将棋でもっとも印象に残っているものは?
「リアルタイムではないのですが、羽生先生との永世竜王をかけたシリーズですね。本を買って何度も棋譜を並べ直して勉強しました」
――注目度の高い対戦ですので、勝ちたい気持ちが強いと思います。
「いやぁ~、そんなにはないですけど(笑)。あ、いや、もちろん全力ではやりますよ。課題は10秒将棋なので、どれだけ悪手を少なく指せるかですね」
――心の準備ができていない中、お答えいただきありがとうございました。最後にファンの方にメッセージをいただけますか。
「本当に面白い企画を立ち上げていただいたと思います。S6のメンバーの中には、今回のイベントを機に注目度が上がる棋士もいるんじゃないでしょうか。デジタル写真集でも普段とは違う棋士の一面が見せられますし、いろんな面で楽しみが多いイベントだと思います」
写真=野澤亘伸
INFORMATION
デジタル写真集「S6」(小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/
渡辺明九段 vs S6(主催:日本将棋連盟)
日時:10月4日(日)13時30分開始~18時終了予定(受付12:30~)
会場:東京都渋谷区千駄ヶ谷1丁目18番5号 将棋会館「棋の音」内
日本将棋連盟特設サイトにて配信視聴券(¥2,000)を販売中
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