「なんで女性的に体が成長しないんだろう」と思っていた
――当時、自身のセクシュアリティについて、インターネットで調べたりしましたか。
さらしな していなかったです。「トランスジェンダー」という言葉すら知りませんでした。でもひとつだけ明確だったのは、女性になりたいという気持ちがあること。
テレビではるな愛さんのようなタレントさんを見るようになって、「自分のような人がいることは確実で、おかしいことではないんだな」とは思っていました。
――でも女性になる具体的な方法がわからなかった。
さらしな 手術や治療があることも、何も知りませんでした。当時は第二次性徴で、体が男性的に変化していくタイミングだったので、「胸が欲しい」と思っていました。「なんで女性的に体が成長しないんだろう」と、疑問を抱いていましたね。逆に体毛が増えたり、声が低くなったりすることがすごく嫌で、体毛は剃っていましたし、低くなった声は、ずっとコンプレックスでした。
「散髪屋には行かない」おかっぱみたいにされて耐えられなかった
――第二次性徴は変化が大きいですもんね。
さらしな 顔に丸みがなくなって、ゴツくなっていくのも嫌でしたね。体のほうは太っていたので、あまり筋肉質にならなかったですけど。
あと、髪型をすごく短くされていて、それも本当につらかった。2か月に1回、父と同じ散髪屋に連れて行かれて。刈り上げではなかったですけど、おかっぱみたいにされて。小学校からずっとその髪型で、耐えられなかったですね。
「散髪屋には行かない」と言って、車から降りて逃げたりして、毎回抵抗していました。でも、最終的には連れて行かれて。
母親や3姉妹の従姉妹には相談できなかった
――お母さんの化粧品をこっそり使ってみたりしました?
さらしな 母が化粧をしない人なんです。母は専業主婦で、父は地方公務員。それだけでは生活が成り立たないので、母のお小遣いはずっと月1万円だったんです。だから、メイクになんてお金をかけられなかったんですね。
――なにかしら頼れるような従姉妹などは?
さらしな ちょうど3姉妹の従姉妹がいるんですけど、仲が悪くて。「男の子なんだから泣かないでよ」とか言ってくるような子たちで。だから相談とかは絶対に無理でしたね。会っても年に数回でしたし。

