「とても怖い」アリエル・リンのたった一言のメッセージ

 別の観客からは、虐待のトラウマに苦しむ主人公の女性に台湾のトップ女優であるアリエル・リンがキャスティングされた経緯について質問が出た。

🄫台湾映画上映会2026

シェン 俳優陣の中で一番最初にオファーしたのがアリエル・リンです。彼女は可愛くて綺麗で善良な人というイメージの役が多かったと思いますが、私はどこかで、ひょっとしたら何か違うことをしたいと考えているのではないかと感じていました。そこでまずアリエルと会いました。そこは地下にある喫茶店で、彼女は足どり軽く、トントントンとリズミカルに階段を下りてきました。私が今回の映画の内容、そして自分自身が追いかけてきたドキュメンタリーやフィールドワークのことを伝えると、アリエルは非常に深刻な面持ちになり、自分自身が女性として生きてきた中で経験した様々な緊張する場面について、私にシェアしてくれました。その日すぐにこのオファーを引き受けるという返事はもらえませんでした。面談の後、アリエルが最初の軽快なリズムと違って、非常に重い足取りで帰って行ったことが印象的です。

シェン・コシャン監督

 そのあと、父親・夫の配役が決まりましたが、アリエルからは返事が来ませんでした。他の配役が決まったこと、もしあなたが引き受けないのであれば別の人に声をかけないといけないことをアリエルに伝えると、彼女からは一言だけ返ってきました。「とても怖い」と。その言葉を聞いた時に、アリエル自身が――彼女はそのとき母親で、2人目を妊娠中でした――この役を演じたあとで現実の世界に帰った時、楽しい母親でいられるだろうか、そんな葛藤があるんじゃないかと私は思いました。

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 最終的に引き受けてくれましたが、撮影に際しては常にアリエルの気持ちを尊重できるように注意し、調整しながら進めました。撮影が終わった後、アリエルは「やっぱりやって良かった」と言いました。これまで演じてきたものとは全く異なる役を演じることができ、俳優人生の中で今後のチャレンジに繋がると彼女に言ってもらえ、安心しました。

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