「将棋界でのビッグマウスはプラスになることが少ない」

 両者が四段昇段を決めた数日後、神奈川県秦野市の「元湯 陣屋」で伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦七番勝負第6局が行われた。國井新四段は高野六段とともに現地を訪れ、急遽、大盤解説へ登場。その第一声が「今日は失言に気を付けたいな」で、現場は笑いに包まれた。

陣屋で行われた今年の王位戦第6局で検討に加わった國井新四段

 前述の記者会見での発言は、新四段にしてはかなりの大風呂敷だということもあって話題を集めた。四段昇段直後にこれほどまでリップサービスを行った棋士は他に思いつかない。打ち上げの場では「こうやって自分を追い込んだ方が、力が出るんです」と語っていた。

 それでも師匠からは注意されたということである。改めて木村九段に話を聞いた。

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「前期は最後に崩れたので、四段昇段はまあよかったですね。國井とは6級の時から1~2ヵ月に1回ほどの割合で指していますが、ここ2年くらいで急に強くなった印象があります。定跡にも詳しくなりましたし、1年ほど前からは棋士からも研究会に誘われるようになったようです。そうなったら師匠としていうことはありません。四段になったら一人前なので、伸び伸びと育ってほしいですね」

 國井新四段の発言については師匠として苦言を呈したという。

「打ち上げの場では、彼が何を言っていたのか知らなかったんですよ。後で記者会見の動画を見て、実績も残さずにものを言うのは違うな、と。本人にそのつもりはなくても、誰かに引っ掛かりますし、将棋界でのビッグマウスはプラスになることが少ないんですよ。釘を刺せるのは自分しかいないな、と」

 もっとも、いつもの木村調で「まあ、國井君は『うるさいな』なんて思ってるんじゃないですかね」と続けた。

 筆者の印象にすぎないが、将棋界の歴史を振り返ると、ビッグマウスと頂点を両立したと言えるのは升田幸三実力制第四代名人くらいではないだろうかと思う。國井新四段が史上初の三冠王の域に達するか。また記者会見では同期に存在感を奪われた形になったが、三段リーグ1期抜けの爆発力をプロ入り後も渡邊新四段が見せつけるか。2人の新四段がファンを沸かせる活躍を見せることに期待したい。

写真=相崎修司

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