横浜は、いくつもの顔を持っている町だ。

 海沿いの工業地帯としての顔があれば、ターミナル・横浜を中心とした典型的な大都市の繁華街、また大岡川沿いには実に庶民的な歓楽街が広がる。海を見下ろす高台は切り拓かれた住宅地。畑の目立つエリアまである。何しろ横浜は、370万人以上が暮らす日本第二の大都市なのだ。

 ただ、「横浜といえば」と問われると出てくるのは、「港町」に尽きるのではないかと思う。

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 JR根岸線、桜木町駅——。国道16号を挟んだ山側には野毛という、これまた実に横浜らしい町がある。が、いまこの駅を訪れる人の大半が足を向けるのは海側だ。

 駅前広場にはYOKOHAMA AIR CABINの乗り場があって、その奥にはランドマークタワー。さらに周辺には、日本丸メモリアルパークにコスモワールド、ワールドポーターズ、そして赤レンガ倉庫と、まさにザ・横浜を体現する観光スポットが集まっている。

馬車道方面に向かう桜木町駅前のこの道も、もとは貨物線の跡地だ。奥ではマンション工事が進む
桜木町駅は「初代横浜駅」。鉄道発祥の地だ
桜木町駅前にはかつて「東横浜駅」という貨物駅が広がっていた

 そしてその真ん中、大岡川の河口を横切るように通っている遊歩道がある。「汽車道」と呼ばれるこの道は、かつてこの一帯に広がっていた港湾施設、また桜木町駅に隣接していた貨物駅・東横浜駅と一体だった貨物線の廃線跡だ。

 桜木町駅は1872年に横浜駅として開業した、日本で最初の駅のひとつだ。1915年には横浜駅が新設されたことで桜木町駅に改称、同時期に隣接して東横浜駅という貨物駅が設けられた。「汽車道」の廃線跡は、この初代横浜駅と明治時代末に完成した新港埠頭を結ぶ貨物線だったのである。

 というわけで、行楽客に混じって廃線跡「汽車道」を歩いてみよう。

横浜の貨物線の廃線跡(赤い点線)、現在はどうなっているのか? 赤の実線が現在も残る高島線

横浜の廃線跡「汽車道」には何がある?

 汽車道は桜木町駅前から通りを渡った先、日本丸メモリアルパークの入口あたりからはじまる。