2000年に失踪した女性が26年ぶりに発見されたニュースが中華圏で話題だ。人身売買の可能性があると報じられている。中国事情に詳しいジャーナリストの中島恵さんは「中国では、現在でも誘拐や人身売買の事件が後を絶たない。その実態は日本人の想像をはるかに超えるものだ」という――。
失踪の女性が26年ぶりに発見される
9月上旬、「中国山東省曹県の農村で、あるブロガーが人身売買された疑いのある女性を発見した」と香港メディアが報じ、大きな騒動となっている。
渦中の女性の名前は孫美華さん。ブロガーがたずねたところ、孫さんは流暢な英語を話し、北京の家族の名前や貿易用語などをきれいな文字で紙に書いたという。DNA鑑定の結果、孫さんは北京に住む男性の妹で、2000年、32歳のときに突然行方不明となり、捜索願が出されていたことがわかった。
報道によると、孫さんは1968年に裕福な家庭で生まれ、バレエや社交ダンスなどもたしなむ才色兼備で、色白だったという。しかし、発見されたとき、ボロボロの服装で顔は真っ黒、歯は欠け、ときどき支離滅裂な言葉を発していた。
孫さんは「龍叔(龍おじさん)」と地元で呼ばれている20歳年上の男性と住んでいたが、人身売買だったのかどうかは今のところ不明だ。香港の報道によれば、この男性は現地当局に連行されたが、続報は出ていない。女性は北京で実兄と奇跡の再会を果たしたが、長年、娘を探し続けた両親はすでに他界していたという。
10代の少女は9万5000円で売られ…
中国のウェブサイトでこの問題を検索すると、孫さんについての報道はわずかにあるものの、香港メディアのように詳しいものはない。同姓同名の「孫美華さん」についての情報が多くヒットし、孫さんに関する報道は意図的に統制されているようだ。
中国では誘拐事件が後を絶たない。誘拐された女性や児童の救済のための民間団体は存在するものの、実態が詳しく報道されることはほとんどなく、統計も少ない。誘拐、人身売買が多発する背景には何があるのだろうか。
