あれから時が経ち、芳子さんが言った通り、娘の学校で気楽に付き合えるママ友が何人もできました。これから大学受験が控えていますが、中受のように親同士が張り合う雰囲気もなく、その意味では、平和に過ごすことができそうです。
長男の受験は、私がさほど気合を入れず、淡々とテキスト整理にだけ努めた甲斐あってか、スムーズに終わりました。
仲良しだった友達も、幼かった娘も、もうどこにもいない
希さんと紀恵さんとは、近所ですれ違うと笑顔で挨拶を交わしますが、お互いにもはや過去の関係、という感じ……かつてあんなに仲良くしていたことが不思議に思えるほどです。紀恵さんが働くファミレスへ行くこともありますが、割引券はもらえません(それは別にいいのですが)。
そして、芳子さんとも、すっかり疎遠になってしまいました。その後何度か会いましたが、芳子さんは娘を東大専門塾やハイレベルな英語塾へ通わせるようになって、早くから大学受験に照準を合わせていったのです。のんびり屋のわが娘との差は開く一方で、話も合わなくなり、どちらからともなく連絡を取らなくなりました。
それこそ芳子さんは、違う世界の住人になっていったのでした。
娘は中高で20センチ以上背が伸びました。幼い受験生だった娘は、もう、どこにもいません。同じように、初めての中受に必死で伴走していた私も、もう、どこにもいないのです。それぞれがその都度居心地のいい世界を探し、気の合う友達と交流する。その繰り返しが人生なのだろうなと、今は思います。