「えー、そうなの? なんかそれで、男子が△△ちゃんのこと詰めて、ちょっとイジメっぽくなってるって聞いたよ。卒業式前なのに、ややこしいことになっちゃったね」

事実関係を娘に問いただすと…

 これはまずい、困ったことになった。私は事実関係を確認するために、すぐに娘に尋ねました。

「あ~、なんか、そう。私があのとき、自習室を抜けてたことをほかの男子が見てて、噂してたみたいなんだよね。私は自分が悪いんだって言ったんだけど、△△がこの間ちょっとほかのことで男子たちと揉めたことがあって、その流れで私の話も乗っかってるって感じ。だけど私は、△△とふつうに遊んでるよ」

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「そうなの。あなたは、△△ちゃんとは揉めてないんだよね? あなたが変な噂を広めたわけじゃないよね」

「私がそんなことするわけないじゃん。受験の失敗を人のせいにするとか、恥の上塗りでしょ!」

 受験の失敗。その言葉は、鋭く私に突き刺さりました。

「ママのそういう顔を見ていると、すごい罪悪感」

 あのころ、私がもっとしっかりと娘のことを見ていたら、結果は違ったのだろうか。娘の異変にいち早く気づいていたら、△△ちゃんと遊び歩くこともなかったかもしれない。

 仕事をセーブして、芳子さんのようにきちんとテキストやプリントも整理していれば、もっと上位校に入れてあげられたのでは……。私の暗い表情を見て、娘が言いました。

「ママ。いい加減に切り替えてよ。私はもう、あの学校で頑張るって決めてるんだから。いつまでも、受験を引きずらないでくれる? ママのそういう顔を見ていると、すごい罪悪感、嫌な気持ちになる」

 娘はもう、切り替えている。偉いな、と思いました。呑気で、明るいところが娘の取り柄です。ご縁のあった学校への進学を、私もしっかりと受け入れて、娘の新生活を応援しなければ……。

 一方で△△ちゃんのことが気がかりでしたが、娘とはふつうに付き合っているとのことだし、紀恵さんも、希さんも、幼いころからうちの娘のことはよくわかっているはずだから、大丈夫だろう。

「変な噂があるようだけど」などと、ここで下手に連絡をして、事態をややこしくするよりは、またタイミングがくるときまで待とう。そう考えて、しばらくLINEをすることはありませんでした。