中学受験を選んだ時点で「違う世界の住人」

「中受を選ぶか、選ばないかで、もう、違う世界の住人になったようなものなのよ。自分はそう思わなくても、向こうからそう思われることはある。結衣子さんのどこがどう悪い、ということではなくてね。彼女たちは、彼女たちが心地よいと感じる世界にいるの。結衣子さんには、また新たに付き合いやすい人たちが現れるわよ」

 新しいママ友を作る自信がないとこぼすと、芳子さんは私の腕をポンと叩いて笑いました。

「そんな、失恋したみたいなこと言ってないで。○○ちゃんが馴染んでいるのなら、ママも馴染めるはずよ。私、学校ってね、不思議と似た感じの人たちが集まってくるなと思ってるの。ご縁なのよね。来年の今ごろになれば、結衣子さんも、新しいママ友と楽しくやっていると思うな」

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 芳子さんの言葉で、少し心が軽くなる気がしました。そして、さすが第1志望校に軽々と受かる子のママだな、と感心しました。

「芳子さんはすごいから、こんな、ママ友の関係なんかで悩むことはないでしょう?」

 私が言うと、芳子さんは眉を顰めました。

「いや、やっぱり中受では、私もいろいろあったわよ。もともと仲良しだったママ友がいたんだけど、うちの娘と同じ学校に入れたいと張り切っていてね、塾がはじまったら、一方的にマウントを取られるようになったの。無視されて、SNSでもあることないこと書かれたり、ちょっと大変だった。彼女のところは結局、第2志望だった学校へ行ったんだけど、もう不登校になっているみたい。なんだか、ね。受験絡みのママ友問題は、本当に難しいわよね……」