感動の卒業式、からの悲しき宴会
希さんと紀恵さんに会ったのは、小学校の卒業式です。笑顔で集まると、私たちは3家族並んで体育館のパイプ椅子に座りました。卒業生代表の言葉を担当したのは、わが娘でした。
「……私はみんなと別の中学へ進むことになりましたが、この小学校で学んだこと、仲良くしてくれた友達との思い出を絶対に忘れません。本当にありがとうございました」
娘の言葉に、希さんも紀恵さんも、涙を見せていました。
「今夜は久しぶりに3家族でご飯をどう?」
卒業式が終わり、校庭で写真を撮っているとき、私は2人にそう声をかけました。ところが、2人ともなんとなくバツの悪そうな顔をしています。希さんが言いました。
「実は、お店を予約してあるの。結衣子ちゃんちも誘えばよかったかな。いろいろ忙しいのかなと思って」
「あ、そうなんだ。いや全然、大丈夫よ。今からうちの4人、追加できるかなぁ?」
「いや、個室で、人数が決まってて……ごめんね。また近々、仕切り直しで宴会しよう」
そのとき紀恵さんは、スッとその場から離れ、担任の先生と子どもたちの写真を撮りに行ってしまいました。
「うん、そうだね。ほんと、受験があったから、いろいろ生活がめちゃめちゃになってて、まだ家の中も整理できてないし、うん。またぜひね」
風の強い日でした。校庭の砂がさっと巻き上がり、子どもたちのキャーッという声が響きました。それを眺める私の心の中には、もっともっと冷たい風が吹き荒れていました。
その夜、卒業祝いの宴会は、同じ中学校に進むことになった家族と一緒に過ごしました。きょうだい構成も同じだったので、子どもたちは楽しそうにしていたのが、救いでした。私は、何を食べても、おいしいと感じませんでした。完全にハブられていることを知った日だったからです。
