4/8ページ目
この記事を1ページ目から読む
真夏の炎天下、次の配達先までの数分を惜しんで小走りで向かうことがある。息が上がり、汗だくのまま女性宅のインターホンを押したところ、後日「息を切らして玄関先に立たれて、気味が悪かった」という苦情が入ったことがあった。一秒でも早く荷物を届けたい一心での行動が、相手には恐怖として映ったらしい。
似たような話で、「配達員に上から下まで舐め回すように見られた」という苦情もあった。実際には、荷物の宛名と表札を確認するために視線を動かしただけだ。ただ、自意識過剰と切り捨てるのは簡単でも、女性一人が見知らぬ男に玄関先で見つめられたと感じたときの恐怖心を、頭ごなしに否定することもできない。
配達員側に落ち度はないのに…
この手のクレームの厄介なところは、配達員側に明確な落ち度がないという一点に尽きる。息を切らしたことも、視線を動かしたことも、業務上ごく自然な動作でしかない。それでも相手が「怖い」と感じてしまえば、その主観がそのままクレームとして成立する。
問題は、ここで終わらない客がいることだ。「なんとなく気味が悪い」程度だった感覚が、「あの配達員はまた来るのか」「担当を代えてほしい」という要求に変わり、さらにエスカレートすると、配達のたびに服装や体つき、車の停め方まで逐一チェックされるようになる。