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将棋ファン冥利に尽きる7年間だった

 ファンになって以降、森内九段は重要棋戦での戦績が伸びて、2007年には羽生九段に先駆けて永世名人(十八世名人)の資格を取り、また2013年にはついに名人と竜王の頂上二冠を達成した。この間、モバイル中継で森内九段を応援し続けていたわけだが、将棋ファン冥利に尽きる7年間だった。

 私は、永世名人獲得時の「将棋世界」の特集号で対談したり、竜王の就位式に来賓代表でスピーチしたりといった、得がたい経験までさせてもらった。

 応援し始めてからどんどん実績が上がって成果が出て、上昇する寸前の株式に投資して勝ち馬に乗ったような「後ろめたさ」を少々覚えないでもなかったが、森内ファンになって本当に良かったと思った。

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2011年、名人戦第7局で羽生名人を破った森内九段(当時) ©共同通信社

 将棋のプロ棋士には、独特の「透明感」がある。将棋というゲームの勝負に人生を賭ける純粋さなのか、明晰な頭脳が放つ光なのか、原因は分からないが独特の魅力がプロ棋士にはある。人気のプロ棋士には、熱心な女性ファンの「追っかけ」がいる場合があると聞くが、彼女らの気持ちも分かる気がする。

 そして、モバイル中継によるライブで将棋を観て棋士を応援していると、その棋士の立場から局面を見て力が入り、大げさでなく充実した一日が過ごせる。

藤井七段が「チャレンジャー」の側にいる期間は長くはないだろう

 さて、私は、もちろん現在も森内九段を応援しているのだが、森内九段は2017年度から順位戦を引退して、フリークラスで指すことになった。彼なりの「合理性」が導いた決定なのだろう。もちろん、竜王など名人以外のタイトル戦に登場する可能性もあるのだが、観ていて殊の外力が入る順位戦で贔屓の棋士の将棋を観られないのは残念だ。

 将棋ファンとしては、次なる「特長あるチャレンジャー」を探さなければならない。

 藤井聡太七段の将棋はよく観るし、素人なりに内容に感心する。終局後にもう一度スマホで手順を確認するのは、藤井七段の将棋が最も多い。今のところ、私は「藤井聡太さん側から」彼の対局を観ているのだが、彼が「チャレンジャー」の側にいる期間は長くないだろう。

すでに全棋士参加棋戦で優勝して七段に昇段した藤井聡太七段 ©文藝春秋

 将棋ファンとしては、タイトルを複数獲った近い将来の藤井七段を脅かすような、将来の「特長あるチャレンジャー」をそろそろ探す必要がありそうだ。

 目下、楽しませてくれそうな候補者が数人いる。

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