待合室で何時間と待たされて、診療時間はほんの数分、説明もそっけない。そんな経験から、医者への不信感に囚われている人は多いのでは。診療現場で湧き上がる素朴な疑問から、年収、恋愛事情といった少々下世話な疑問まで、現役の若手医師である著者が、書名どおり「本音」で綴ったこのベストセラーを読めば、そんな不信感も解消……とまではいかなくとも、どこか許せるようにはなるかも。
「もともと私や家族が抱いた素朴な疑問が、企画の始まりでした。あまりにも不躾な質問をぶつけたので、著者は最初、イラッとされたそうです(苦笑)。でもそれが、執筆の決め手になったとも。著者もまわりの医者も、激務の中でも一生懸命に患者と向き合っているのに、『冷たい』と思われてしまう。そのギャップを埋める本を書くことは使命だと感じられたそうです」(担当編集者の坂口惣一さん)
徹底して患者目線に立った、綺麗事に終わらない回答揃いなのが印象的だ。
「著者には医療業界の風通しを良くしたいという、強い信念があります。だからこそ、言い難いことであっても、あえて本音を表に出した。問題を完全に解消はできないまでも、読者は医者も同じ人間だと理解することで、病院で感じた怒りが和らぐ部分もあるのではないでしょうか」(坂口さん)
現在、「癌」をテーマにした第2弾を準備中。
2018年8月発売。初版1万2000部。現在11刷11万4000部