鍛えられた体が武器
――流行があるということでしょうか。
長与 そうですね。髪型やコスチュームの形も似てくるの、つまらないよって思うんですよ。
だから、他の団体の選手はデビュー戦からキラキラしているコスチュームを着たりするのですが、うちはデビューから1年はスクール水着みたいなコスチュームに、白のリングシューズを履くってルール。鍛えられた体が武器なんだから、胸を張って見せたらいいよって言っています。
で、1年経ったら違うものを作っていいってルールなんですけど、これがなかなか作ってくれない(笑)。
「ゆとり世代」の前は「今の子は」だった
――あれ、なぜでしょう。
長与 他団体の子たちが派手だから、「シンプルなほうが目立つし、ワザに目がいく」っていうんですよ。「お願いだからもうそろそろ作らない?」「もう3年目だよ」って口うるさく言って、やっと作ってくれたり。作ってくれても、なんか地味なやつだったりする(笑)。
――長与さんのマインドが自然と伝わっているのですね。
長与 そうなんですよ。自分のプロレスをいかに魅せるかということを「あっ、考えてくれてるんだ」と思うので、この子たちを信じています。
自分は好きじゃないんですが、「ゆとり世代」っていう言葉があるじゃないですか。1980年に自分が15歳でプロレスラーになったときは、「今の子は」って言葉があったんですよ。会社の人や、上の先輩たちに、「今の子は」って自分たちはよく言われていたんです。
――そうだったんですか。
長与 時が流れて「GAEA」を作った時には、「今どきの子は」になった。そのあとは「ゆとりだからね」とか。言葉が違うだけで、言ってることはずーっとループしている。ちょっと待って、みんなそこに逃げないでよ、って思いますね。この子たちをそういう言葉に押し込めないでよ、って。
――選手たちへの信頼を感じます。それはトレーニングでもそうですか。
長与 食事なども任せていますね。むしろ見ていておもしろい。
プロテインひとつにしても、アメリカから輸入していたかと思ったら、今度はイギリスやフランスのほうから届く。「それは何に効くの?」って聞くと「これは寝ている間になんとかかんとかで」。「ふーん。これは?」って聞くと、「これは朝、これは昼」。もう全部違うんですよ(笑)。知らないことが多いので、自分も教えられますね。