スキンヘッドは「強烈な自我の表れ」
マキタ スキンヘッドっていうのは、強烈な自我の表れだよ。髪が薄いことを隠したい、ハゲてることに触れてほしくないから剃っているのであって、決して無精だからじゃない。
おぐら たしかに手入れは大変ですよね。
マキタ スキンヘッドの人の近くに行ってみな、ものすごくいい匂いするから。
おぐら よく「剃っちゃったほうが楽だから」って聞きますけど……。
マキタ 楽なもんか! めちゃめちゃ神経質だよ。ハゲで無精っていうのは、江頭(2:
おぐら ありのままの姿で。
マキタ スキンヘッドは美学であり、出すことで隠してるの。
おぐら 出すことで隠してる……なんか哲学的ですね。
マキタ 江頭さんや俺なんかのほうが、よっぽどハゲと向き合ってるんだから。
おぐら そういえば、マキタさんのお父さんはカツラだったんですよね。
マキタ 立派なカツラだったよ。家に並べてあったからね。それで、外出するときにだけ被るの。気分によっては、カツラの上から帽子も被ってた。
おぐら 二重の仕掛けが……。
マキタ 問題は、家に俺の友達が遊びに来たときで。親父は家にいなくても、部屋の3箇所くらいにカツラが置いてある。発泡スチロール製で人の形をしたマネキンが被ってるわけ。当然、友達は「あれなに?」って聞くよね。それで「あぁ、見つかった……」っていう。
おぐら それで言うと、僕の実家は床屋で、カツラも扱っていたので免疫はあるんですよ。人がカツラを被る瞬間も、はずす瞬間も子供の頃から見てました。
マキタ メンテナンスに来るんだ。でもそういうのって、他のお客さんがいるときにやっちゃうの?
おぐら いや、営業時間が終わったあとです。予約制なので、夜の9時とか10時とかに、CLOSEって書いてある扉を開けて入って来ます。
マキタ 思いっきり秘密の商売じゃん! しかも昔はカツラって高価だったから、だいぶ儲かったんじゃない?
おぐら 僕が子供の頃、バブルの時期はけっこう儲かってたと思います。お客さんもお金持ってましたし。店中のカーテンを閉め切って、カツラを洗って、地毛をカットしてっていう光景はよく見てました。
マキタ それは貴重な経験だね。
おぐら なので父親とテレビを見ていると、「あの人はカツラ?」「あれは違う」「あの人は?」「あれはカツラだ」って教えてくれましたよ。
マキタ えー! ちょっとここでは書けないだろうから、あとで詳しく聞かせて。
(#4に続く)
写真=文藝春秋/釜谷洋史