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 私設応援団員と外野席で数百試合過ごしたことで、応援のルーティンやビジュアルがいかに凝ったものか、その後ろにある組織がいかに複雑か、そして同志のファンたちとの交流がいかに心地よいことかを教えてもらった。もちろん、本では阪神ファンはスタジアムに来る者に限定せず、阪神ファンの様々なあり方を記述している。関西では阪神は、無関心な者や、積極的に嫌う者にとっても無視することが難しい存在なのである。

阪神とメディアの共依存関係の本質

 阪神タイガースのスポーツワールドの構成員で、かなり特徴的と言えるのが阪神について報じるメディアだ。東京の読売グループの強みの1つは、新聞やテレビ、ラジオネットワークなど、自らコントロールできる自前のメディアを持っていることだった。阪神の親会社に欠けていたものはこれで、結果として全国メディアや地方メディアと問題含みの共依存関係に陥ってしまった。

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 阪神報道の中心にあったのは5つの日刊紙で、それらはタブロイド式の大げさな語りと、知識豊富な記者、編集者、カメラマン、コメンテーターによる集団が提供する専門性を持ち合わせていた。彼らが金になる報道対象として阪神タイガースを必要としたのと同様、タイガースは注目を集め続けるため彼らを必要としたのである。

 つまり、わたしが「スポーツワールド」という概念を使って強調したいのは、阪神タイガースがいかに多くのプレイヤーの共同生産物であるか、という点である。選手やコーチはもちろん、フロントや親会社、ファンや観客、さまざまなメディア、甲子園も含めて、である。

#2へ続く

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