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 しかし結果は98手でまたしても永瀬七段の勝利。19時39分終了と、夕食休憩後約1時間後の終局となった。第1局の大逆転とは違い、永瀬七段が上手くリードを広げ勝ち切った将棋だった。

 食事の量が勝ってるからと言っても、当然将棋で勝たなくては意味がない。

 番勝負中、対局の合間は少し日にちが開く。その間、各所から聞こえてくるファンからの声、雰囲気など、そういったものが対局者に影響を与えることもある。

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「永瀬七段の食事の量がすごい」という話題、「1局目で逆転されてしまったら後に響いてしまうのではないか」という声……。高見叡王は挑戦者決定戦から対局相手を意識する注文をした棋士だ。そういった動きには非常に敏感なはずだ。もしかしたら、高見叡王は本当に「妖術」に惑わされてしまったのかもしれない。

高見泰地叡王と挑戦者の永瀬拓矢七段 ©松本渚

最初からエンジン全開ではじめられるように

 第3局、第4局は持ち時間が変わり、各3時間となる。

 昼食は対局前に済ませ、14時から対局開始だ。

 その中で報道される食事量は、対局中の夕食こそ普通であるものの、対局前の昼食では再び永瀬七段の健啖家ぶりを見せつけられることとなった。

 高見叡王
 昼食:鯨カツと五島うどん御膳、アイスウーロン茶、オリジナルブレンドコーヒー
 夕食:長崎牛ローストビーフ丼、アイスウーロン茶、ジンジャーエール

 永瀬七段
 昼食:花月御膳、長崎牛ヒレ御膳、オリジナルブレンドコーヒー、チョコチーノ、バナナ3本
 夕食:海鮮丼と五島うどん、モカブレンド

 夕食の報道だけ見た人は騙されただろう。永瀬七段は3時間という短い持ち時間の中、カロリーの摂取を対局開始前に済ませ、最初からエンジン全開ではじめられるように準備してきたのだろうか。

 将棋自体も、ものすごいスピードで進んでいる。対局開始から20分程度で43手も進み、駒同士がぶつかり戦いが始まった。お互い研究範囲内の進行だったのだろうが、それにしても早い。途中、お互い相手からの攻めを相手にせず、ひたすら殴り合う局面が続いた。勝利まで読み切っているのは、はたしてどちらだったか。

 結果は131手までで永瀬七段の勝ち。高見叡王はカド番に追い込まれた。