ノンポリおじさんも動いた
いっぽう、近年の香港では世代間の分断も大きい。
中国大陸と香港の社会を隔ててきた一国二制度は2047年に終わ
だが、今回の香港のデモに向かった人たちには、
【ファイル3 ノンポリおじさんが動くとき】
〔Wさん 52歳 職業:小規模商店主 学歴:専門学校卒〕
――デモにはどういう形で参加されましたか?
W: デモに行ったのは2003年の「50万人デモ」以来だな。なんとなく、今回ばかりは行ったほうがいいなあと思って。9日と16日のデモに参加した。最初から最後まで歩くのは大変だから、銅鑼湾(コーズウェイベイ)あたりから横入りして、途中で抜けたよ。
――参加を決めた理由は?
W: なんとなく、本能的にマズい感じがしたというか。あとは林鄭月娥の態度が悪かったからかな。今回、香港の弁護士会が「慎重に審議を」と意見書を出したのに、強行突破をしようとした。専門家が意見を出しているのに耳を貸さないで、最初から法案を通すことありきで「法律が通ってから内容を説明する」みたいなことを言い出していた。偉そうじゃないか。あれはよくない。
「別件のでっちあげもあるだろう」
――態度が偉そうなのが気に食わなかった(笑)。
W: 彼女は人生で失敗したことがない人だから、他の人の意見に耳を傾けないんじゃないのかな。今回の話だって、しっかり市民に説明して慎重に審議に移ってくれていれば、納得もできたかもしれないのに。
――逃亡犯条例改正案をどう思いますか?
W: 内容をしっかり理解しているわけじゃないけれど、ちょっと怖い気はする。雨傘運動のときと違って、財界が反対しているのもわかるよ。中国で商売していたら、誰でも絶対にワイロなり何なりの悪いことはやっている。やっていなければ商売できないもの。経済犯罪は引き渡しの対象にならないというけれど、別件のでっちあげはあるだろう。中国にことさら悪い印象はないけれど、信頼性が低い部分は確かにあるし、特に司法関係なんかはそうだよね。