「お元気ですか?」の語源からわかる正常なセックス
東洋医学の李さんも、体内時計の重要性を説く。
「不規則な生活で体内時計が狂うと、肥満や生活習慣病など多くの病気が関わってきます。なかでも最初に影響が出るのが、腎です。腎は漢方の考え方では『先天の元』と言い、父母からもらった生まれ持った体力と元気のもとです。
よく『お元気ですか?』と言いますが、これは『元来の気が充満していますか?』という意味で、腎の中の気が充満しているのが元気な状態です。この気が薄くなると、元気ではなくなる。腎の中の陰気と陽気が充満していると、正常なセックスができるのです」
腎を補う「補腎」は、漢方の永遠のテーマである。古代からあらゆる研究がなされ、補腎によってセックスと命の寿命をできるだけ延ばそうと考えられてきた。補腎に使われるのが、李さんが製造する蜂の子サプリや、民間伝承の鹿茸やニラなどの強精作用をもつ食べ物や漢方薬である。
夜のゴールデンタイムと、「昼下がり」のゴールデンタイム
体内時計にはセックスに適した時間も定められている。それが21時から23時の「三焦(さんしょう)」の当番だ。
李さんが続ける。
「三焦とは身体の中心部、舌から陰部までのことです。全身に気を行き渡らせるもので、この時間にセックスをすると、五臓六腑が全て順調に整っていきます。経路が開通するようなもので、全ての内臓に繋がる糸という考え方もあります。各臓器を繋ぎ、活性化させる時間が21時から23時なのです」
体内時計を守ることで、三焦の当番も生きてくる。ただし、あまりセックスをしすぎるのは不摂生だという考え方が漢方にはある。
「黄帝内経」には、不摂生の典型をこう記している。
〈今どきの人は、酔っては女を求め、欲情のままに精力を尽くす。一時の快楽のために、人の真の楽しみを知らず、50歳になれば、もう衰えてしまう〉
腎気が枯れ、体力が衰えてしまうので、精は大切に保って、寿命を延ばしなさいという考え方である。
実は、臓器の当番時間にはない性交のピンポイント・タイムがある。
「軽く昼寝した後、勃起していたことはありませんか?」と、前出の山岡氏が言う。
「テストステロンの最も多い時間帯があり、それが15時くらいなんです」
そして私はこんな記事を見つけた。冒頭の山田花子が妊娠を発表した時、彼女は報道陣にこう言ったのだ。
「(性交の)回数は多い方じゃないので分かりました。あの昼下がりやなと」
昼下がりの情事も、自然の摂理だったのである。
次回はオーガズム人体実験でわかった「女性の性欲」に迫る
連載「ヒトは何歳までセックスできるのか?」記事一覧
■漢方医学では「男64歳、女49歳限界説」も
前編:ヒトは何歳までセックスできるのか?
後編:「定期的にバイアグラ」性のアンチエイジングが寿命を延ばす理由
■日本男児肉食化の鍵を検証する
前編:あなたの男性力は「巻き尺」で測れる
後編:「炒めたタマネギ」で性欲を高める
■性交を成功させる「ゴールデンタイム」
前編:鹿のペニス、スズメバチの子……あらゆる「精力剤」は信用できるのか?
後編:「元気ですか?」の語源と「体内時計」で読み取る正常なセックスとは
■オーガズム人体実験でわかった「女性の性欲」