厚生労働省が2017年に発表した統計によると、日本人の平均寿命は男性「81.09歳」、女性「89.26歳」と、過去最高を更新し続けている。「人生100年時代」と言われるなか、「QOL(生活の質)」の向上は、現代人にとってますます重要な課題となっている。中でも性生活は、人間らしい暮らしを送る上で避けて通れないテーマだろう。人は何歳までセックスできるのか――かつて「週刊文春」で話題を呼んだ本企画は、これからを生きる現代人にとっても示唆に富む。あらためてここに公開する。

 今回のテーマは体の若返り。自分の体を有効に使って若返る「フェロモン体操」を取材した。



※「週刊文春」2012年9月27日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。

肛門と生殖器の密接な関係

©iStock.com

「自分でやれる体の若返り法には、どんなことがありますか?」

 講義の参加者からそんな質問が出た時、「野口整体」で知られる野口晴哉(はるちか/昭和51年没)は何と答えたか。日本に整体を広め、多くの指導者を育てた第一人者の教えは、意外にもこんな答えだった。

「肛門をギュッと締めて、それを保つ」

ADVERTISEMENT

 女も男も「ケツの穴を締めろ!」というのだ。この時のやり取りを野口は、著書『女である時期』(全生社)にこう書いている。

〈肛門を締めるということは生殖器のはたらきに非常に効果があるのです。ヨガでも中国の房中術などでも一番の秘伝になると、肛門を締めることになってくる〉

 なぜ肛門を締めることが、生殖器のはたらき、つまりセックスと関係があるのだろうか。

自分の力で若返る

 前章では活力サプリ「エディケア」をはじめ、勃起をめぐる最先端の技術を紹介した。

 しかし、科学が進歩する反面、日本人は男女ともに自分の体についてあまりにも無知であることが、不妊カウンセラーなどから指摘された。

©iStock.com

 ここでは、科学の力を借りずに、自分の体を有効に使って“回春”できることを紹介したい。

「最近の日本人の特徴を一言で言えば、“ケツの穴が締まっていない”です」

 はからずも、やはり肛門に言及したのは、Z-MON治療院を主宰する整体師、寺門琢己氏だ。「骨盤体操」で知られる寺門氏は、幅広い世代の女性たちから支持されている。

「いいセックスは、いいウンコが鍵」という寺門氏はこう話す。

「例えば、『耳を動かせますか』と同じように、『お尻の穴を開けたり、締めたりできますか』と聞かれて、できなかったらもうアウトです。亀が産卵する時に、産道から卵を勢いよくポコポコと出しますよね。あれは括約筋の動きです。括約筋の収縮力が落ちると、便を出す力が弱くなる」