英語の勉強なんかするよりも素振りしなきゃ、って(笑)
イチロー 球場内に関してはもう宿題と思えるようなことはありませんが、球場外では、アメリカでは思うようにいかないことが多いと想像しています。どこでストレスを発散しましょうか。日本にいれば何だってあります。友だちもいるしね。でも向こうではそうはいきません。英語? 前は少し勉強しましたけど、今はまったくやっていない。メジャー行きたいなぁ、でも無理だろうなぁって感触のときは勉強もやる気になるんですけど、いざ行けるとなったら、英語の勉強なんかするよりも素振りしなきゃ、って(笑)、そっちの方に意識がいってしまうんですよ。不思議ですよね。食事に関しても、ホームにいるときは妻がいてくれるから問題ありませんが、遠征に出たときは、難しいことがたくさんあるでしょうね。どうしても食えないものが存在しますからね。注文したものとイメージが全然違うものが出てきたりするじゃないですか。絶句させられます。日本人にはストレスになることが多いと思います。
――21世紀、イチローが挑むアメリカン・リーグは、じつにおもしろい。マイク・ムシーナを加えて強力先発陣にさらに磨きが掛かった王者ヤンキース、マニー・ラミレス、野茂英雄を加えたレッドソックス、アレックス・ロドリゲス、アンドレス・ガララーガ、ケン・カミニティというスラッガーをズラリと補強して雪辱を期すレンジャーズ、さらにイチローを得たマリナーズ─162試合、イチローには息の抜けない毎日が続くはずだ。それでも、イチローにとって、念願のマリナーズのユニフォームだ。2年前、スプリング・トレーニングに参加していたおかげでゼロからのスタートをしなくて済む、という理由から第一希望にあげていたマリナーズには、イチローが「子どもっぽいところがあるから、安心して自分をさらけ出せる」と言って慕う佐々木主浩もいる。