周りから「これ、光石だよね」と言われることは多かった
——光石さんは、渋井直人のマインドを共有するところはあったのですか?
光石 (答えに窮しながら)ええっと……とにかく、周りから「これ、光石だよね」と言われることは多かったです。自分では「ここまでじゃないよ」と思っていたんですけど(笑)。ただ、家のものや身に着けるものにこだわりはあったので、そこは共通していたのかな。料理は全然できないのですが。
渋谷 2年前に『デザイナー渋井直人の休日』の本を出すことになったとき、帯のコメントを誰に頼むか悩んでいたら、フォトグラファーの関めぐみさんが、「光石研さんにそっくりだから、絶対に読んでもらったほうがいい」と言ってくれたんです。僕は俳優としてはもちろん知ってたけれど、光石さんのパーソナリティはよく知らなかったので、インターネットで調べたら、たしかに似ていた(笑)。そこで、すぐに依頼しました。本を送ったらすぐに書いてくれましたよね?
光石 事務所から本が送られてきて、読み始めたら止まらなくなっちゃって(笑)。勢いで、その日の夜中に(推薦文を)書きました。
——岡山さんはどういうタイミングで原作を読まれたんですか?
岡山 ちゃんと読んだのはドラマのお話をいただいてからです。その前にも先生の『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』は読ませていただきました。『デザイナー渋井直人の休日』は、僕も読み始めたら止まらなくて、ハマってしまいました。
渋井の事務所の本棚をチェックしたら……
——ドラマの撮影はいつ、どのくらいの期間で行われたんですか?
光石 冬だったね。
岡山 12月から2ヶ月くらいでしたね。
光石 松本佳奈監督も、この作品はディテールにこだわらなきゃいけないとおっしゃって、美術部も衣装部もすごく頑張ってあの世界観を作り込んでくれました。ドラマは住まい兼アトリエでしたけど、原作では別々でしたよね?
渋谷 そうですね。撮影現場に行ったときに、渋井の事務所の本棚をパーっとチェックしたんです。テキトウな本が置いてあるのかなと思ったら、本当にデザイナーの事務所にありそうな本がちゃんと並んでました!
光石 美術監督は、有名なCMも数々やっていらっしゃる富田麻友美さんという方で、家具や小道具まで入念に考えてくださっていました。料理もフードコーディネーターの飯島奈美さんが作ってくださって、おいしかったよね?
岡山 おいしかったです! 機材をセッティングしている間は料理にラップをかけて、撮影ではラップを剥がして冷えたものを食べることがほとんどですが、今回は温かいものを出してくださって。
光石 そうそう。本番前に取り替えてくださってね。