僕はいかがわしいんです。全然、たいしたことないんです
——渋井直人と光石さんがこれほど近似値だったのは驚きました(笑)。漫画のほうは先月『続 デザイナー渋井直人の休日』が刊行されました。ドラマに収録されたエピソードも入っていますね。
渋谷 そうなんです。ぜひ、原作とドラマの違いを読み比べてもらえたら! ドラマは毎週形になるので、本当に感動しました。あと、現場で「先生」「先生」ととにかくチヤホヤしてもらったのが嬉しくて(笑)。岡山さんもウェブのインタビューで話していましたけど、僕も光石さんみたいになりたいと思いました。
光石 (はにかみながら)なにを言ってるんですか!(笑)
渋谷 年上の尊敬する人はたくさんいるんですけど、自分とあまりに違いすぎてこういうふうになりたいとは思わない。でも、光石さんにお会いして、この飾らなさで、このままいけるならいいな、と。
光石 楽屋でも話しましたけど、僕は、ロックをあまり聴かないんですね。ロックって体制に向かって何かを叫んだり、細身のジーパンとかはいて、チェーンつけたりして、かっこいいじゃないですか。でも、ソウルが好きという人は、ちょっといかがわしいところがあると思うんです。僕はいかがわしいんです。全然、たいしたことないんです。
僕にとってもすごく大事な作品になりました
——ドラマの放送が終わってだいぶ経ちますが、いま「デザイナー渋井直人の休日」を思い返して、改めていかがですか?
光石 天音くんもそうだと思うけど、いろんな撮影現場に行くと大概「渋井直人、観てました」と声をかけていただくことが多いんです。
渋谷 嬉しい!
光石 取材にいらした編集の方とか、美容室に行くと「ああいうアシスタントいますよね!」なんて話をしてくださる。
岡山 僕もよく言われました。取材にいらした方に「杉浦くんぴったりでしたね」と言われて、それはどうなんだろう? と思ったり(笑)。
渋谷 『デザイナー渋井直人の休日』は、呪いをかけるくらい入り込むというよりは、もう少し軽いノリで描いていた作品だったんです。でも、光石さんや岡山さんという僕の好きな俳優さんたち、松本監督、スタッフさん、テレビ東京さんらがリアルなドラマを作ってくださった。原作の優しい部分も汲み取って形にしてもらったという感動がありました。そうして、僕にとってもすごく大事な作品になりました。もし、今後、渋井直人を映像にすることなったら、原作に沿わなくても、光石さんやスタッフの皆さんの好きにやってほしい! くらいの気持ちでもいます。
——それはすごい。続編、みんな観たいですよね?
会場 (大拍手)。
光石 みなさん、そう言ってくださるんですが、これ、どなたに言ったら作っていただけるんでしょうか?(笑)
渋谷 ドラマはBlu-rayが出ています。ドラマも漫画もこれからも応援してもらえたら嬉しいです。そして、『続 デザイナー渋井直人の休日』をぜひ買ってね!
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光石研
みついし・けん◎1961年生まれ。福岡県出身。16歳のときに
岡山天音
おかやま・あまね◎1994年生まれ、東京都出身。2009年「
渋谷直角
しぶや・ちょっかく◎1975年生まれ、練馬区出身。漫画、
2019/09/11 下北沢 本屋B&B
撮影 鈴木七絵/文藝春秋