いままで女性にモテなかったから、ああいうのができたんじゃないですか
渋谷 光石さんは、ああいう、ディテールの「わかる!」という感じをすごく入れますよね? インスタで出会ったmiyukibeef(内田理央)とデートしたときの「ビオワインとか大丈夫?」って言い方も、ちょっとハラ立つ感じで表現していたのがすごいなあと。
——基本は台本通りなんですか?
光石 ほとんど台本通りだよね?
岡山 そうですね。
光石 カメラの去り際に、「アンテナ張っておけよー」とか、少し付け加えた程度だったと思います。
岡山 でも、渋井さんが、べりかに会うときの思春期感は、台本には書かれていませんでしたよね?
渋谷 ああいうのは、光石さんの引き出しにあるんですか?
光石 そんなの、ないですよ! いままで女性にモテなかったから、ああいうのができたんじゃないですか(笑)。
臼田あさ美さんが「渋井さん、幸せになってほしいー」
岡山 現場では、光石さんの演技に笑いをこらえるのがキツかったです。カメラが光石さんのほうを向いていると、さらに勢いが増すので、自分が撮られていないときは笑ってました。原作の漫画を読んでいても、最初は滑稽だなと笑っているんですが、途中から笑えなくなる感じがあって。自分もこんなふうになるのかなと思えてきて。
渋谷 はいはい、そうね。
岡山 編集者の高田さん(夏帆)が、結局、家に来られなくなって、渋井さんが、高田さんのために作ったごちそうを一人、暗い部屋で欅坂を観ながら食べる場面とか、実写ならではのエグみ……? (笑) 先生のかわいい絵だとまだいいのですが、実写はせつなさが増しますよね。
渋谷 僕は毎週、「かわいそう」と思いながら観てました。
光石 チワワを演じた臼田あさ美さんが、撮影が終わって帰るときに、俺の顔をみながら「渋井さん、幸せになってほしいー」と言ってました。
岡山 チワワがさんざん振り回したのに(笑)。
光石 そうそう。なんで俺の顔見て言ったんだろう(笑)。でも、毎週名だたる女優さんたちがヒロインとして来てくださって、こんなに幸せなことはなかったです。機嫌を損ねないように、とにかく気持ちよく帰っていただきたいなと思っていましたね。
——光石さん的に一番アリなのはどなたですか?
光石 ええっ! アリですか!?
——渋井直人として、でも(笑)。
光石 現場で監督らと、渋井が「まだイケる」と思っていること自体ヤバイよねと大笑いしてました。とにかく渋井直人でいくらでも遊べるんですよ。「渋井さんってこうだよね」とスタッフのそれぞれが自分を重ねるところがあって話ができる。撮影しながらもそれが面白かったですね。