10月29日の発売とともに、業界内外を騒がしている異色のコラボ増刊「ビームス×週刊文春」。そのなかから「週刊文春」の連載でお馴染みのみうらじゅんさん、安齋肇さんとビームスの永井秀二さんの鼎談をご紹介します。
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「考えるヒット」のイラスト担当・安齋肇さんと「人生エロエロ」のみうらじゅんさんは、20年以上も前からビームスとのコラボを続けていたのです! 2人の無理難題を叶え続けてきたビームスの永井秀二さんと共に、コラボ企画の悲喜こもごもを語り尽くします!
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安齋 最初にビームスとコラボしたのは、サッカーのTシャツのデザインをやったときだったかな。
みうら 釜本の時代(笑)?
安齋 そこまで古くないよ(笑)。1996年くらいかな。僕の希望で、ジョージ・ベストっていうイギリスのサッカー選手のTシャツをデザインしたんだけど、2000枚も売れたんだよ。日本人に全然知られていない選手だったのにすごいよね。
永井 安齋さんのデザインしたTシャツは売れるんですよ。
安齋 正確に言うと「売れた」でしょ(笑)。永井さんは基本的に「人がやってないことをやりたい」っていうタイプだから何でもやらせてくれる。
みうら 僕のイベントでも何かグッズを作ろうとなったとき、安齋さんは必ず「ビームスで作れるから」って言ってたもんだよ(笑)。
安齋 それが20年以上続いてる。
みうら 僕と安齋さんと久住昌之とレッドマン(和泉晴紀)で「ニール・ヤング展」をやろうってなったときも、安齋さんがビームスのBギャラリーを即、取ってきてくれたもんね。
安齋 その前に、Bギャラリーで版画展をやらせてもらったから、そのつながりでお願いしたんだよね。版画展のときは、ビームスがカタログを作るお金まで出してくれて、なんと設楽社長が版画展に参加しているんですよ。(設楽洋社長のページを出して)版画が得意だっていうから頼んだんだけど、人物が前向いてるのか後ろ向いてるのかわからなくない?
みうら いや、きっと振り向いているんだよ(笑)。
安齋 振り向きすぎでしょ、これ!
永井 しかも泣いてますよね。
安齋 デザイン的には最高ですよ。夕日と顔が両方ともまん丸で。
アイロンをかけると溶けちゃう伝説のアロハシャツ
みうら こんなふうに何かイベントするとき、気軽にグッズ作ってくれるところってビームス以外になかったからね。
安齋 みうら君プロデュースで大木こだま・ひびきさんの漫才イベントやったときなんかアロハ作ってくれたもんね。
みうら マイク・スミスがデザインしてくれた、ハイビスカスの中央にこだま・ひびきさんの似顔絵が入っているやつね。
永井 伝説のアイロンをかけるとプリントが溶けちゃうアロハのことですね(笑)。しかもプリント部分が汗を吸わなくてベトベトする「あせも系」のアロハになってしまって(笑)。
みうら 発注したのがギリギリでそうなっちゃったんですよね。すみませんでした。
永井 納期的な部分と製作枚数が少なかったことが原因ですね。普通は発注枚数がもっと多いので、反物から作ります。でもこのときは枚数が少なかったので、苦肉の策でシャツにプリントするという形になったもので……。
みうら 限定30枚でしたもんね。
永井 売るか売らないか、最後まで悩んだんですよ。でも早い時間から購入希望のお客さんが並んでおられて、一瞬で完売になってしまったんです。
みうら 会場で必死に「アイロンだけはかけないでくださいね!」って叫んだことよく覚えてますよ(笑)。なのにすぐ売り切れた。
安齋 今やレアものだよ。