みうら 安齋さんはその会場で、杉作J太郎と一緒にモデルとしてアロハ着て出てくれたんだよね。
永井 イベントの当日、「渋谷の公園通り劇場に来てくれない?」って安齋さんに呼ばれて行ったら、舞台上に「BEAMS特製アロハシャツ製作発表会」って大きな看板がかかっていて、ド素人の僕の席まで用意されていて(笑)。あっ、これ会社から怒られるやつだ、と。
みうら 記者会見風にはしたけど、記者なんて1人も来てなかったでしょ?
永井 いや、それが来てたんですよ。「週刊プレイボーイ」に記事がバーンと出ちゃって、会社にバレて事情聴取されましたよ(笑)。こだま・ひびきさんがテレビで見るより大きかったことにもひやっとしました。サイズ合わないぞ、と。
安齋 Lサイズなのにパツンパツンだった(笑)。でもこのアロハが、これまでで一番面白くできたコラボだと思うな。永井さんは、この頃から僕らの「特製部門チーム」にずっぽり入ってますね。
みうら 入ってるというか入れられちゃったんじゃないの?
永井 ほかにも色々作らせていただいて。20年程前、「ビームスじゃあなる」という社内報の編集をやっていたんですけど、その題字をお2人に描いていただいたこともありました。その題字をTシャツにプリントして、社内報に投稿してくれたスタッフにあげていたんですよ。
架空のロックフェスのグッズを作っちゃった
みうら 僕が一番すごいなと思ったのは、映画『変態だ』(みうらじゅん原作・安齋肇監督)のときのコラボですね。ビームス 原宿の3階(トーキョー カルチャートbyビームス)で、カメラマンの三浦憲治さんが撮影したスチル写真をでっかく引き伸ばして展示して、映画に出てくる架空のロックフェスのグッズまで作って販売したでしょ。
安齋 このグッズは映画を撮り終わったあとに作っているから、映画には出てこないんだよね。
みうら 映画で主人公が着てるTシャツを売るというならわかるけど、そうじゃないのが新しかった。
安齋 まずは映画を永井さんに見てもらわないと、イベントをやらせてくれって説得できないと思ったんだよね。リアリティがないというか。
みうら 実際、映画に出てくる「スノーロッヂフェス」は客が10人ほどしかいない寒いライブだったけど、あんなフェスにビームス製のグッズが出てるってこと自体がおかしい(笑)。
安齋 架空のフェスのグッズってところが面白いんだよね。マグカップ、Tシャツ、エコバッグ、キャップ、タオル……。たくさん作ったな(笑)。
永井 映画の設定を知らず、ただ「スノーロッヂフェスのロゴがかわいいな」と思って買われた方も多かったと思います。
安齋 すごくかっこいいポスターもシルクスクリーンで作ってくれたんだよ。こういうグッズ展開のセンスの良さは、ビームスならではって感じがする。映画の顔出し看板も置いてくれたよね。これ、公開時に新宿ピカデリーにも置いてあったんだけど、いつの間にか端に追いやられて最後は倉庫に入っていたらしい(笑)。
みうら 俺ら基本的に顔出し看板が好きだからね。ニール・ヤング展のときも顔出し看板作ったし。
安齋 顔出しニール君、いたね(笑)。新宿のBギャラリーだけじゃなくて原宿のトーキョー カルチャートbyビームスでもギャラリースペースを割いてくれたことで、よりグッズも作りやすくなったよね。
みうら 安齋さんの思う壺じゃない、それ(笑)。そもそも洋服屋さんがギャラリーを作ったのって、ビームスが初めてなんじゃないですか?
永井 今はディーゼルとかもギャラリーを持っていますけどね。
みうら でもこんなバカなノリの展示はやってないでしょ?
永井 バカってわけじゃないですけど……そうですかね(笑)。