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「もう将棋は嫌だ!」小4で道場をやめた“西山朋佳少女”が里見香奈六冠と初めて戦った日

「もう将棋は嫌だ!」小4で道場をやめた“西山朋佳少女”が里見香奈六冠と初めて戦った日

西山朋佳女王インタビュー #1

2019/10/31
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西山 初回の例会から何もかも違うと思いました。私は緩くて、遊び大好きのような感じだったんですよ。中2の2月に編入する権利を得たんですけど、心の準備が欲しいなと思って、3月に入会したんです。初日、研修会のようにジーパンでファーのついたカーディガンでいったら、みんな学生服とかスーツだったんですよね。怒られはしなかったですけど、「次からは……」と注意されて、制服で行くようになりました。

 

里見香奈三冠と初めて戦った日

――奨励会の例会は、全員が和室に正座して、その前に幹事の棋士が座っていますよね。まず点呼があって、何か注意があったらして。そのなかで、女の子が一人だけカジュアルな服装は、さぞかし緊張しただろうと思います。

西山 私が入会したとき、幹事をやっていらっしゃったのは阿部隆(八段)先生と畠山鎮(八段)先生で、いま思えばとてもピリッと引き締まった空気でした。

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――その後2011年、当時の里見香奈三冠が奨励会編入試験の相手になりました。里見さんとは初対局。西山さんは4級で、手合いは香落ちでした。

西山 あの日は確か、5月21日なんですよ。

――何で覚えているんですか?