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連載この鉄道がすごい

JR・相鉄直通線はどこまで便利か、平日初日の「大宮行き」に潜入してみた

相鉄ユーザーの乗りこなしがすごかった

2019/12/07

genre : ライフ, , 社会, 経済

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武蔵小杉の混雑緩和効果が大きい

 長い駅間、スピードを上げて走った電車は武蔵小杉駅の手前で一時停止。横須賀線の電車の通過を待って合流し、武蔵小杉駅に停車した。武蔵小杉駅からどっとお客さんが乗ってきた。タワーマンションが林立し、武蔵小杉駅の朝はパンク状態として知られている。プラットホームで電車を待っていた群衆の半分が乗り込んだようだ。残っている人は、横須賀線で品川・東京・総武線方面に行く人だろう。

 湘南新宿ラインも横須賀線も混雑状態で武蔵小杉駅に到着し、さらに乗客を飲み込んでギュウギュウ詰めで発車していく。そんなパンク状態の武蔵小杉駅に、JR・相鉄直通列車はガラガラの状態でやってくる。そして、新宿方面行きの乗客をさらっていく。武蔵小杉駅の混雑はかなり改善されたといえる。JR東日本にとって、JR・相鉄直通線のメリットは、武蔵小杉駅の混雑緩和の意味合いが大きいのかもしれない。

 次に停車した西大井駅も、利用者が恩恵を受けた駅のひとつ。ここは横須賀線、湘南新宿ラインが通るけれども、湘南新宿ラインのうち高崎線直通系統は通過していた。そこに1時間あたり2本のJR・相鉄直通線が停まるようになった。西大井で降りる人は少なく、乗る人は多い。混雑は変わらないままだ。

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羽沢横浜国大駅でゆとりを持たせているようだ

 しかし、次の大崎駅で大勢降りていく。山手線やりんかい線に乗り換える人が多い。大崎駅周辺もオフィスビルが増えている。武蔵小杉の混雑が大変と言うけれど、混雑を我慢する区間は意外と短い。

 大崎駅で山手線から埼京線・湘南新宿ラインに乗り換える人が多い。この電車は大宮まで行くけれど、そこまで足を伸ばす人は少ないようだ。新宿へ行くだけなら山手線に乗り続けたほうがラクだし、埼京線の新宿駅プラットホームは西口から離れているため敬遠する人も多いから、こちらに乗り換える人は少ない。

 大崎発車後は混雑も緩和され、立っている人の隙間から向かい側の窓が見えている。恵比寿・渋谷も降車が多い。ただし、窓ガラスは息で曇っていて景色は見えなかった。

埼京線の新宿駅はバスタ新宿側 ©︎杉山淳一

 新宿駅には約5分遅れで到着した。相鉄線内の遅れは取り戻せた。しかし、武蔵小杉で合流する横須賀線が遅れていた。相互直通運転にありがちな遅れだ。後から参入するJR・相鉄直通線は、羽沢横浜国大駅でゆとりを持たせているようだ。乗務員が交替するという理由もあるけれど、相鉄、JR双方の遅れを吸収できるように配慮されているようだ。