文春オンライン

特集2019年 忘れられない「名言・迷言・珍言」

通訳は見た ジェイミーが必ず「君たちから何かあるか」と選手に意見を求めた理由

通訳は見た ジェイミーが必ず「君たちから何かあるか」と選手に意見を求めた理由

ラグビー日本代表で「one team」が誕生した瞬間

2019/12/30

ホラニ龍コリニアシが「大和魂を見せよう」

 チームを結束させたという点で印象的だったのは、W杯期間中、試合前に招いたゲストからのスピーチです。なかでも第3戦のサモア戦でのゲストが、前回、前々回のW杯で活躍したトンガ出身のホラニ龍コリニアシ。彼は選手たちに「大和魂を見せよう」と訴えた。

 高校時代に留学生として来日したコリニアシが日本で学んだのが、大和魂だったと言うのです。日本人特有の勤勉さ、そして、仲間やチームのためなら自己犠牲をいとわない精神性こそが、大和魂だ、と。

 彼の話は、「日本人は仲間のために、チームのために、という思いが強い」とジェイミーが常々語ってきた日本人の長所と重なりました。そんな日本人らしさを海外出身の選手たちが学び、異なる文化を持つ者同士が互いに尊重し合える関係になっていた。

ADVERTISEMENT

前回ワールドカップに引き続き、ラグビー日本代表の通訳を務めた佐藤秀典氏 ©︎文藝春秋

 信頼する仲間と協力して、大きな目標にチャレンジする――。日本代表が目指したことは、とてもシンプルだった。だからこそ、様々な背景を持つ選手が1つになり、史上初のW杯ベスト8進出という目標を達成できたのだと感じるのです。

(聞き手・構成:山川徹)

通訳は見た ジェイミーが必ず「君たちから何かあるか」と選手に意見を求めた理由

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー