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「棋士らしく読みの入った麻雀を打ちたい」麻雀最強位の“勝負強さ”の秘訣とは

「棋士らしく読みの入った麻雀を打ちたい」麻雀最強位の“勝負強さ”の秘訣とは

鈴木大介九段インタビュー #2

2020/02/21
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藤田晋社長とは20歳のころに麻雀で遊んだ仲です

――理事になる前には、AbemaTVの将棋チャンネルの立ち上げにかかわりました。

鈴木 サイバーエージェントの藤田晋社長とは20歳のころに麻雀で遊んだ仲です。しばらく会っていなかったんですけど、縁がありまして「将棋の番組もAbemaTVで作りませんか」という話になりました。藤田さんに任せたらとんとん拍子で進んだ感じですね。本当に感謝しています。

――2017年2月にAbemaTVで将棋チャンネルが始まり、その翌月から、「藤井聡太四段 炎の七番勝負」が放送されました。藤井四段(現七段)の公式戦の連勝とともに注目され、反響が大きかった企画でした。

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鈴木 野月さん(浩貴八段)を含め、スタッフの皆さんの好判断でしたね。最初は大幅に負け越して、藤井くんが自信をなくしたらどうしようと思いました。会議のときに野月さんが「藤井くんの将来を考えたら、誰が見ても納得できるメンバーと勝負したほうがいい」といったのを覚えています。

――結果は藤井四段の6勝1敗。特に第7局で羽生善治九段(当時、三冠)に勝ったことは、将棋を知らない方にも大きなインパクトを与えました。

鈴木 藤井くんが結果を出したのはすごかった。若い人の成長は目覚ましいですね。最初、AbemaTVのスタジオに入ってきたときは中学生で、オドオドしていましたよ。それが次第に受け答えもしっかりしてきて、端から見ていてすごいなと思いましたね。

 

棋士らしい麻雀で、自分の読みを信じる

――最近話題になった麻雀についてうかがいます。麻雀ではどのようなタイプでしょうか。

鈴木 現在の麻雀はリスク管理とか、ゲーム回しが注目されています。牌のめぐり合わせはたまたまであるという概念が強いんです。

 けれど、自分は相手の癖を見ながら打つ駆け引きの麻雀です。棋士らしく読みの入った麻雀を打ちたいですね。外れることもありますが、「ビタ止め」という当たり牌だけ止めるのが得意戦法です。調子がいいときには、牌の切り出し方などを判断材料にして、端から端まですべての牌を言い当てたこともあります。

――ハイリスクハイリターンなのですね。

鈴木 自分の中では読み切っているつもりですけどね。外れることもあるから、そういう意味でハイリスクなのでしょうね。いまの主流からは、かけ離れた打ち方です。

――麻雀は洞察力も発揮して勝たれていますが、将棋にも共通する部分があるんでしょうか。

鈴木 それはもう。私は流れ論者なので、手の流れを読んで、この流れなら押していけば勝てるとか、向こうが引くだろうというのは当然考えます。

――優勝した麻雀最強戦では、決勝戦も強く押していましたね。

鈴木 そのときも相手の所作で手の点数とかを読めるところがあるので、強くいったんです。勝ちのときは一気にいかないといけないと思うんですよね。将棋と同じですね。