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障害者と健常者のカップルが直面すること

――雅紀さんの手記の中で、「当時は英子さんから随分いろいろ指摘を受けた」という旨を拝読しました。どんなことを議論されたのですか?

木村 やはり障害者と健常者という違いが大きかったですね。当然、障害者の人に合わせた生活になるし。例えば、2人きりになりたくても私の介護者が常時居てプライバシーがないとか、そういった葛藤や辛さはあっただろうと思います。

 私は常に他人が居ないと生きていけないので、そういった状況が、きついですけど当たり前になっています。一方健常者の人は、普通は必ず自分1人の時間を持てますよね。障害者と一緒になることでそれが全くなくなるというのが、とても大変だったんじゃないかと思います。

――当時雅紀さんは、それに対してストレートに不満を仰っていたんですか?

木村 彼は結構自分の中に溜めちゃうタイプなので。溜めたやつがどう出るかというと、病気になって出てくるんですね。言葉で言うというよりは、倒れるという。「あ、倒れた。これはもう限界なんだな」みたいな感じです。

――木村議員としては、もっと率直にいろいろ不満を言ってもらいたかったですか?

木村 言ったから解決するという問題でもないんですよね。お互いどう生活したら快適に過ごせるかを、その都度話し合ったり模索したりしながらやってきました。山あり谷あり、色々ありましたけどね。

子どもを持つと、差別がより鮮明になった

――お子さんがおられるとおっしゃいましたね。障害者として子育てを経験する中で、初めて知ったことや驚きなどはありましたか。

木村 子どもを持つと、1人の時よりも差別がより鮮明になりました。

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新型コロナウイルス感染対策のため、当日はマスク着用でインタビューに答えた木村議員

――それは、差別が増えたのですか? それとも、より差別に気付くようになったんですか?

木村 両方です。まず、「重度障害者で車いすに乗っている人がお母さんだ」という認識が周りにないからビックリされます。障害者だからということで突然PTAの役員から外されていたりとか。

 あと、授業参観とかで皆後ろで子どもたちを見る時。車いすってただでさえスペースを取るのに、車いすの半径1メートルぐらいは誰も近寄ってくれなくて。で、一番端の人が教室に入れないから、私が「もっと傍に寄っていいですよ」と言っても、「あ、いいですいいです」と言って寄って来ないとか。

 しまいにはちょっと私も怒って「寄ってこないと向こうの人が入れなくて困るから詰めて下さい」と言って、ようやく詰める、という感じですかね。

――よそよそしいですね。陰口というよりは、無言で自然と人が避けていくという感じでしょうか。私もすごくそういう経験があります。

木村 公園デビューとかもできないですよね。しても誰も話しかけてくれませんから。