「面白い本」を見つけ、日々全国各地の読者に届けている熟練目利き書店員の皆さん。彼らがお薦めする今年の1冊(2016年6月~2017年5月)はこれだ! 話題作や掘り出し本が続々登場。夏休みのお供を選ぶ最高のガイド!

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〈小説〉

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1.『蜜蜂と遠雷』(恩田 陸 著)幻冬舎

2.『罪の声』(塩田武士 著)講談社 

3.『みかづき』(森 絵都 著)集英社

4.『我らがパラダイス』(林 真理子 著)毎日新聞出版

4.『騎士団長殺し』(村上春樹 著)新潮社

1.蜜蜂と遠雷 

『蜜蜂と遠雷』(恩田 陸 著)

 新人発掘のピアノコンクールで、ピアノを持たぬ天才・風間塵、コンサートから逃げた元天才少女・栄伝亜夜、ジュリアード音楽院の誇るマサル・カルロス、サラリーマンの高島明石らが鎬(しのぎ)を削る。直木賞受賞作。

○R-40ここがおすすめ!

「音楽がふってくる」(旭屋書店池袋店・北川恭子)

「ノンフィクションのように綿密な物語の構成と、小説の醍醐味である“想像する解放感”」(喜久屋書店阿倍野店・市岡陽子)

「日本の小説界の代表作となるべき傑作。読み終わってしばらくピアノの曲は聴きたくなかったほど」(メトロ書店本店・川崎綾子)

2.罪の声

『罪の声』(塩田武士 著)

 31年前の未解決犯罪「ギン萬事件」取材を命じられた文化部記者。恐喝に使用された録音テープと同じものを父の遺品に見つけた仕立て屋。2人の視点が交わり、真相が姿を現す。

○R-40ここがおすすめ!

「グリコ・森永事件を新たな視点で描く社会派エンタメ小説」(文苑堂書店福田本店・青山浩士)

「被害者だけでなく、加害者そしてその家族の悲惨な人生も描いていて切なくなります」(ジュンク堂書店三宮店・三瓶ひとみ)

「フィクションなのかノンフィクションなのか? 真相はこの通りだったかもと思わせるリアルさがある」(今井書店・浜崎広江)

3.みかづき

『みかづき』(森 絵都 著)

 学校の勉強についていけない子を助ける補習塾か、優等生を一流大学に送り込む進学塾か。太陽に対する月のように、戦後日本の教育を裏側から担った「学習塾」とは何であったか。経営者家族三代に亘る葛藤、離散、和解の物語。

○R-40ここがおすすめ!

「戦後の教育史がしっかり物語を支えている」(こどもの本の広場会留府店主・阿部裕子)

「教育とは、時間が掛かり、そしてその効果(成果)は教育者の知らないところで実を結ぶ」(三省堂書店東京ソラマチ店店長・久保亘)

「この本の素晴らしさを語りだしたら止まらない。教育者のバイブルになればいいのに」(今井書店グループセンター店・鳥橋早苗)