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雅子皇后、笑顔と涙の1年間――取材してわかった「雅子さまらしさ」とは

2020/04/12
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和やかに話を盛り上げる「雅子さまらしさ」

 名古屋市の宿泊先で開かれたレセプションパーティでも「雅子さまらしさ」が見られた。出発前には「ご体調次第」と言われていたパーティだったが、当日に出席をご決断。驚いたのは、上皇上皇后両陛下はよく金屏風の前にお立ちになって懇談されていたが、両陛下は招待客に混ざり、囲まれるようにして懇談なさったことだ。まるで人の渦の中におられるようだったが、実に生き生きとしたご表情を見せられていた。

 帰京されても雅子さまのお疲れが、以前のように何日も残ることはなかった。名古屋の人たちからのあたたかい言葉が、力になったのかもしれない。宮内庁幹部によれば、以前の雅子さまには「次をこなさなくてはいけない」とご自分を追い立てるようなご様子があったが、今では感じられないということだった。

 さらに6月4日、両陛下は皇居・宮殿でクロアチア議会議長夫妻と懇談された。東日本大震災の際の支援に対するお礼と両国の交流などについて、和やかに言葉を交わされたという。ここでも雅子さま流のもてなしが見られた。

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「国民祭典」で祝福に涙される雅子さま ©JMPA

 報道撮影の時、雅子さまは議長夫人とのお話が盛り上がり、陛下が着席を促されたが、お2人はまったく気付かないという場面があった。陛下が微笑みながら2度目に手を伸ばされると、ようやく雅子さまがお気付きになって着席された。

予定調和の会話より、自然に生まれた言葉を大切に

 こうしたご様子からも、両陛下は予定調和の会話より、その時に自然に生まれた言葉や反応を大切になさっているのではないかと思うときがある。

 それはプライベートでの登山中に偶然出会った登山者や、ご静養先の駅のホームで待っている人たち、公務先の関係者との会話からも感じられるものだった。

 夏には須崎御用邸と那須御用邸で夏休みを取られたが、ここでもご一家は沿道で出迎えた人たちの側に寄って行かれて、30分近くも話しかけられていた。

 陛下は「暑い中待っていただいてありがとう」と声を掛けられ、愛子さまは地元の高校生や小学生と、試験勉強の話や夏休みの宿題について言葉を交わされた。

 11月9日には、「天皇陛下の御即位をお祝いする国民祭典」が皇居前広場で6万人を招いて開催。祝賀式典では、郷土芸能や奉祝曲などが披露され、全国に生放送された。両陛下は皇居正門石橋に提灯を掲げてお立ちになった。