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雅子皇后、笑顔と涙の1年間――取材してわかった「雅子さまらしさ」とは

2020/04/12

培った身を守るための知恵

 以前、治療のイメージをある東宮関係者に聞くと「それは階段を上って、踊り場で休まれる。そして、体力とお気持ちを蓄えてから、また階段を上っていくようなものです」と語っていた。

 雅子さまは、東宮妃や皇后としての務めをなさりたいというお気持ちがあったからこそ、階段を上ってこられた。だが突然襲ってくる不安の波は、一度起こると消え去るまでに時間が掛かるものだともいわれた。

 それだけではない。儀式や公務を無事にこなせたとしても、その後に「疲れを残さない」ようにしなくては、連日の日程をこなされることや、次の公務などに差し支えるという。そうした調整は雅子さまご本人にしかできないため、自分自身と闘い続ける中で、身を守るための知恵を培ってきたのだという。

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 令和2年が明けてからも、雅子さまのご活動は続いた。正月行事を始め、2月23日に60歳をお迎えになった陛下の誕生日の食事会などにご出席された。同時に3月20日の宮中祭祀「春季皇霊祭」にご出席になるため、体調の調整をされていたが、間に合うかどうか分からなかった。そのため当初のご出席は「陛下お1人で」といわれていたが、18年ぶりに十二単で皇居・皇霊殿に拝礼された。

 続いて4月3日の「神武天皇皇霊殿の儀」にも出席が期待されたが、残念ながらご欠席となった。ご一家で拝謁を受けられていたことから、雅子さまの意欲は強かったが、ご体調が整わなかったのだろう。

国民のために何ができるかを模索

 この春、愛子さまは学習院女子高等科を卒業された。両陛下は新型コロナウイルスの感染予防のため、卒業式へのご出席は叶わなかった。お友達からもらったというオレンジのガーベラの花束を持ったご表情からは、高校生活がとても充実したものだったことが窺えた。

 今春から学習院大学文学部日本語日本文学科に進学されたが、これから大学で専門知識を学べることを楽しみにされているという。

「愛子さまが御所の敷地内でバドミントンをなさっているお姿を、侍従が確認したことが伝えられています」(宮内記者)

 両陛下は新型コロナウイルスに憂慮されており、宮内庁は現場感覚のある識者のご進講を検討していた。だが、現場に携わっている人は忙しいため、4月にようやくご進講が行われる予定だ。

 両陛下は、これまでにも皇室医務主管や侍医長、侍医をはじめ、関係者から多くの情報を得て事態の推移を見守りつつ、国民のために何ができるかを模索されているという。

 そして国民と同じく、ご一家で静かな時間を過ごす工夫をされている。

とものうなおこ/1961年生まれ。新聞、雑誌記者を経て独立。皇室問題については長期取材を続けており、2003年からは雅子妃のご体調をめぐり「文藝春秋」「週刊文春」などで執筆。著書に「雅子妃 悲運と中傷の中で」「皇后雅子さま物語」(いずれも文春文庫)。

雅子皇后、笑顔と涙の1年間――取材してわかった「雅子さまらしさ」とは

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