外出自粛によるSTAY HOMEが続く中、近頃よく思うのは「おいしくて体に優しいものが食べたい」「でも調理はカンタンに済ませたい」ということ。

 そこで、4月末に緊急転載した「週刊文春WOMAN」2019 GW号の「冷凍食材とカット野菜でつくる 包丁いらずごはん」に続き、今回は「週刊文春WOMAN」の創刊号(2019正月号)より「日本一カンタンなだし生活をはじめよう」を転載。

 ベストセラー『終電ごはん』で終電族のための楽ちんかつ健康的なレシピを提案した梅津有希子さんの手にかかれば、日本古来のだし生活もこんなにカンタンになりました。(全2回の前編/後編を読む)

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教えるのは梅津有希子さん

 

だし愛好家、ライター。1976年北海道生まれ。長年顆粒だし派だったが、天然だしのおいしさに目覚め、だしの魅力を広めるべくさまざまなメディアで活動中。乾物店巡りが趣味。

梅津さんの著書『だし生活、はじめました。』と、簡単だしレシピが満載の続編『もっとおいしい、だし生活。』(ともに祥伝社)。

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顆粒だし派が本物のだしに目覚めた理由

 毎日の料理に使うだしは顆粒だしオンリー。6年前までそんな生活で、何の不満も感じていませんでした。自分でだしをとるのは年越しそばと、お正月の雑煮のみ。毎回とり方を忘れ、その都度ネットで検索してだしをとるというのが年末年始の恒例でした。

 数年前の年末、帰省した北海道の実家で鍋いっぱいに大量の昆布が浸かっており、母が「そのまま飲んでもおいしいよ」というので温めて飲んでみたところ、あまりのおいしさに目ん玉が飛び出たことがありました。初めて本物の昆布だしの味を知ったのです。それまでも鍋料理のときには儀式のように昆布を入れてはいましたが、量が少なくてはっきりいって水みたいなものだったのだと思います。このときの衝撃が、だし生活を始めるきっかけになりました。

週刊文春WOMAN vol.1 2019正月号

だし生活で甘いものに興味がなくなった

梅津有希子さん

 だし生活が身についてから、明らかに塩分摂取量が減りました。うま味がしっかりしているので、塩分に頼らなくても十分満足。そして、不思議なことにあれだけ好きだった甘いものに興味がなくなりました。だしを研究している大学教授に聞いたところ、だしは砂糖や油と同様に「やみつき」になることが科学的に判明しており、わたしの場合は「砂糖よりもだしのうま味の快楽が上回っているのだろう」とのこと。

 甘いものを食べなくなり、昆布のだしがらをよく料理に使うからか、明らかに太らなくなりました。お酒が好きなので痩せはしませんが(笑)。

 どんな料理にも使える偉大なる日本のだし。何よりとてもおいしいので、もうだしのない生活は考えられません。今こそ、だし生活を始めてみませんか?