1冊を確実に仕上げるコツ
選ぶ単語帳は好きなものでも、学校で使っているものでも何でもいいです。私のお薦めは『システム英単語』(駿台出版)ですね。覚えるべき重要単語が並んでいて、レイアウトもスッキリしていて見やすいんです。高校3年生の中には「今の時期に英単語をやっていて良いのか……」と不安に思う人もいるかもしれませんが、大丈夫です。単語は、日頃使わないと忘れてしまいますから、常に触れていることが大切です。1つ目の意味をほぼ覚えたら、次からは2つ目の意味を覚える、次は3つ目と順番に覚えていき、1冊を確実に仕上げましょう。
この連載では問題集1冊をやり終えて達成感を得ることが重要だと繰り返し説明してきました。1冊をやり終えるには、実はコツがあるのです。よくやるのは、1ページ、2ページと順番にやることです。でもこれって、退屈ではないですか? コツはなるべく早く最後のページを見ておくことです。300ページあったら、思い切って真ん中の151ページから始めて300ページまでの単語をまず覚える。続いて1~150ページまで覚えるという順番です。これが、最後まで頑張れる秘訣なのです。
このようなやり方を思いついたのは、息子の中学校で「百人一首を全部覚える」という課題が出たことがきっかけです。1首目から順番に覚えようとしましたが、20首目くらいから「100首まで道のりが遠いな」とやる気がなくなり、せいぜい40首あたりで嫌になることが目に見えていました。そこで、とにかく最後まで辿り着くことを優先して、まずは51首目からスタートして100首まで覚えたのです。最後のゴールを見ると人間は安心するのか、たとえ途中から始めても100首目を見ると、それだけで何となく達成感があるのです。あとは残りの1~50首を覚えれば良いわけで、不思議とかなり気が楽になるのです。同じ100首を覚えるのに、順番を変えるだけで精神的な負担が相当軽くなるのは驚きです。英単語もその要領で途中から始めてとにかく最後までやって、始めに戻る方法を試してみてください。
英語は長文読解も重要です。英語が苦手な人は、まず先に解答の日本語訳を読んでください。そこで誰が主人公で、どんな粗筋なのか大まかに把握してから英文の読解に取りかかりましょう。先に日本語訳を読むことに抵抗があり、きちんと英文を読んで、分からない単語が出てきたら逐一辞書を引いて調べながら読まないといけない、なんて考える人も多いと思います。でも、それでは時間がかかり過ぎるし、大した効果は見込めません。1つ読むだけで疲れてしまうので、たくさんの英文を読むことができず、悪循環に陥ります。英文を読むのに早く慣れることが必要ですから、後々使いもしない単語を辞書で引いて四苦八苦しながら読むのは明らかに得策ではないです。分からなければ、すぐに答えを見ることも大切です。受験は、「気合い」や「頑張る」という根性論や精神論では乗り切れません。