世界の紛争地やスラムなどの貧困地域で何が起きているのか――。
『この世界を知るための大事な質問』(宝島社)は、「貧困地域の子どもたちの日常風景」の写真とエピソードを交えながら、子どもの貧困をめぐる問題をQ&A形式で解説しています。
日本ユニセフ協会の現地視察に同行している著者だからこそ撮れた、ドラマ性のある写真の数々には、一見気づかないような、大事なメッセージがひそんでいます。
同書から抜粋して、高橋尚子さんのインタビューをお届けします。
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Qちゃんが取り組む、海外での支援活動
——高橋さんはJICA(独立行政法人国際協力機構)のオフィシャルサポーターとして、海外での支援活動に取り組まれています。
高橋 私が現役(げんえき)を終えた翌年の2009年に「ケニアでマラソン大会をしませんか」というお誘さそいをいただきました。せっかく行くなら、何か意味のあることを一緒にしたいと思って、ケニアについて調べていたんです。そうしたら、たくさんの子どもが破傷風などで命を落としていることを知りました。はだしの子が多いので、足をケガしてしまうんですね。
「もし靴をはいていれば、そうした感染症を防ぐことができるかもしれない」。陸上競技をやってきた私にとって、靴は自分の分身のように大切なものです。まだ使えるけど、子どもが成長してはけなくなった靴が日本にはたくさんある。それを集めてケニアの子たちに送ってあげられないだろうか。
スマイル・アフリカ・プロジェクトを発足し、みんなで話し合って、JICAや企業の協力を得て、プロジェクトをはじめました。そして、2019年に目標にしてきた10万足に達したんです。