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特集観る将棋、読む将棋

対局の内容を理解したくて……私の「青嶋未来の将棋トレーニング」

第2期“書く将棋”新人王戦――忘れられない推しの名言

2020/07/24

※こちらは公募企画「第2期“書く将棋”新人王戦」に届いた36本の原稿のなかから「文春将棋賞」を受賞して入選したコラムです。おもしろいと思ったら文末の「と金ボタン」を押して投票してください!

編集部の推薦コメント:

青嶋未来六段に六枚落ちの指導対局でボロボロにされ、「あんなにやさしくない先生がいるのか……」とかえって興味を持つ。そこからの青嶋推しへのハマり具合が凄まじい作品です。特に動画配信の青嶋解説を繰り返し視聴して書き写す様と「あおしまファイル」に大笑いしました。

単に熱心なファンであるだけでなく、青嶋六段の言葉の意味を考え、将棋と勝負の真理に少しでも近づこうとする謙虚な姿勢にも好感を抱きました。これからもずっと「ミライの将トレ」、続けていってください!!

◆ ◆ ◆

「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」というゲームが発売されると知った時、青嶋未来ファンである私は藤井聡太ファンの方々のことが本当にうらやましくなりました。「棋士・青嶋未来の将棋トレーニング」も発売されないかな……と考えながら、ふと気づきました。私が普段、青嶋先生の将棋を理解するためにしていることのすべてがもはや青嶋未来の将棋トレーニングと呼べるのではないだろうか、と。

 私が青嶋先生のファンになったきっかけは指導対局です。2017年1月のことでした。将棋の勉強を始めてから半年ほど経った頃で、六枚落ちにとても苦戦していました。

 現在では主に詰将棋カラオケの印象により比較的親しみやすい棋士として認識されていますが、2017年当時、まだカラオケ解禁前の青嶋先生はむちゃくちゃ怖かったです。

チェス日本王者でもある青嶋未来六段 ©相崎修司

 指導対局が終わり、帰りの電車の中で「あんなにやさしくない先生がいるのか……」と、青嶋先生に興味を持ち始めている自分に気づきました。それ以来、いろいろな教室や道場に先生の指導対局を受けに行くようになり、気づけばすっかり先生のファンになっていました。

 しかし、六枚落ちで苦戦していた当時の私には、青嶋先生の対局の内容はほとんど分かりませんでした。先生の将棋のこともほとんど何も知りませんでした。時が経つにつれて「せっかくファンになったのだから、ちゃんと先生の棋譜を並べたい、そして先生の将棋を理解したい」という気持ちが、自分の中でどんどん大きくなっていきました。

 こうして私の「ミライの将トレ」が始まったのです。

 ミライの将トレの内容は大きく分けて四つあります。ひとつずつ書きます。

その1:棋譜保存

 青嶋先生の棋譜は日本将棋連盟ライブ中継アプリで配信される他、名人戦棋譜速報、叡王戦公式サイト、囲碁・将棋チャンネル公式サイト、NHK将棋、朝日杯中継サイト、将棋年鑑などで入手することができます。入手できた棋譜はDropboxに保存し、さらにDropboxとKifuアプリを連携させて、いつでもiPhoneから見られるようにしてあります。また、Kifu for Windowsの棋譜用紙印刷設定を使用して、紙でも保存しています。

「棋譜保存」ボタンを押すことで簡単に保存できる棋譜もありますが、ほとんどの棋譜はKifu for Windowsを使って入力する必要があります。流れとしてはまず初手から終局までの指し手を入力し、そのあとで消費時間をまとめて入力します。

その2:ミライの棋譜ノート書き写し

 ミライの棋譜ノートとは、青嶋先生が自戦解説を書いているブログのことです。2019年1月1日、先生のツイッターアカウントと同時に開設されました。その元旦、タイムラインに先生のツイートが突然流れてきた時の衝撃を今も覚えています。嬉しさよりも、こんな夢みたいなことが起こるのか……という驚きの方が大きかったです。

 ミライの棋譜ノートは、青嶋先生の対局後に必ず更新されます。将棋の解説だけでなく、先生の趣味であるチェスやカラオケの解説が書かれることもあります。将棋の自戦解説における基本スタイルは、中盤~終盤のポイントになるような局面を取り上げ、そこからの本譜の変化と、本譜とは別の変化について解説する、というものです。解説を書き写すことで、その棋譜に対する理解がよりいっそう深まります。

 ミライの棋譜ノートが生まれて特に嬉しかったことがふたつあります。

 ひとつは、中継されなかった対局の自戦解説が読めるようになったことです。勝敗以外の情報がまったく分からなかった状態から、先後・戦型・ポイントになった局面が分かるようになったのです。これは革命でした。

 もうひとつは、青嶋先生が対局中にどんなことを考えていたのかが分かるようになったことです。私がずっと、本当に知りたかったことを先生自身の文章で教えてもらえるようになったのです。やはりこれも革命でした。