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女系天皇はなぜあれほどまでに否定されるのか……ヒントは「歌舞伎」?

信州大学特任准教授・山口真由が解説

2020/08/12

 家族法を研究する者の視点から、目下再燃しつつある「女性天皇」と「女系天皇」の是非をめぐる議論について考えてみたい。

皇居 ©️iStock.com

日本では家族の基本単位は「親子」、欧米では?

 家族の最小単位は何だろうか。欧米では、人生をともに乗り切るパートナーとして自分が選んだ相手との関係が重視されることから「夫婦」と答える人が多いだろう。それに対して、日本では家族の基本単位は「親子」なのではないか。そう考えると、欧米の価値観は家族においても選択を重視する、日本は血縁を重視する社会のようにも思えてくる。

 そして、そういう価値観が日本の天皇制の基礎にあるとの意見もあるだろう。王位継承において、イギリスやスペインは直系男子を優先させるが、女子にも継承権はある。結果、エリザベス女王が君臨している。

 スウェーデンやオランダに至っては、男でも女でも第一子に王位継承権がある。女性に皇位継承権を認めない日本の皇室は血縁重視で、男尊女卑的な日本の「家族」の価値観を反映しているという批判が聞こえてきそうだが、それはやや単純過ぎるだろう。

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 まず、欧米は男女差別の価値観と決して無縁ではない。例えば、英米の歴史を紐解けば、かなり差別的なシステムが現れる。結婚と同時に妻は夫の影となる。自らの財産は夫のものとなり、それを処分することはおろか誰かと契約することも一切認められない。伝統的な英米法の家族観は、日本よりもさらに家長の権限が強い。