「セミ会」円満開催の理由
――今回の杉並区の騒動については、どのような印象を持ちましたか?
伊藤「2年前にも、埼玉県川口市で食用目的でのセミの幼虫捕獲が問題になったんです。当時は『セミ会の逆風になるかも』と感じましたが、それほど大きな影響はなかったですね」
――セミたまの「セミ会」は、これまでトラブルになったことはありますか?
伊藤「現状、苦情が来たことはないですね。セミ捕りをしているときに、近所の人から『何してるんですか?』と訊かれることはありますが『セミの研究をしているんです』と答えています。さすがに『これから食べるんです』とは言えないです(笑)。とはいえ、“セミの味の研究”でもあるので問題ないかと」
――イベント開催にあたって、自治体への相談なども行っているのでしょうか?
伊藤「じつは、セミたまの『セミ会』は、『多摩市若者会議』という団体がきっかけになって開催されたものなので、多摩市役所に後援をしていただきました。私が仕事で中国に行ったときに“セミの幼虫を使った料理”が出てきて、セミが食べられることを知ったんです。帰国後、セミを食べる『セミ会』が行われていることを知り、2年前にプロジェクトをスタートしました」
――今後も「セミ会」は開催していく予定ですか?
伊藤「今年は新型コロナの影響でオンラインで開催しましたが、来年の状況によってはぜひ開催したいですね。多摩市を“昆虫食のメッカ”にしたい、という展望もあるので、よりよい形で継続していきたいです」
伊藤氏は最後に「今回の騒動でセミが愛されていることを感じた」と語った。杉並区都市整備部みどり公園課によると、セミの季節が終われば、話題のポスターは撤去する予定だという。