カリフォルニア州にある町ユーリカ...由来は
こうした古代文明の地名はほかにもある。
アラバマ州、オハイオ州、ジョージア州、テキサス州などにあるアセンズ Athens は、古代ギリシャの学問、文化の中心地だったアテネの名にちなんだもので、いずれの「アセンズ」にも大学が設けられている。
サウスカロライナ州スパータンバーグ Soartanburg は「スパルタの町」。優れた軍人を輩出した古代ギリシャのスパルタにちなんだ名だが、これは独立戦争で戦功のあった連隊名につけられていたスパルタという名がそのまま地名になったものだ。
ほかにも、ニューヨーク州トロイ Troy(古代ギリシャ時代のトロイ)、ミズーリ州カーセージ Carthage(フェニキアの植民都市カルタゴ)などがある。
カリフォルニア州にはユーリカ Eureka という町がある。これは古代ギリシャ語で「見つける」という意味がある。感嘆詞のようにして「見つけた」「わかった」と使った。そしてこの語は古代ギリシャのアルキメデスが風呂に入ったとき、浴槽の水位が上がったその分の体積が自分の身体の体積に等しいと気づき、”Eureka! Eureka!” と2度叫んだことに由来するという。
カリフォルニア州では、アルキメデスが金の比率を知る方法を発見したことと、ゴールドラッシュで金を発見したことを掛けてユーリカ Eureka を州の標語としているという。もうひとつ、カンザス州のユーリカは町を建設しようと場所を探索していた一行が泉を発見したとき、この叫び声があがったので名付けたという。
ちなみに、アルキメデスは”Eureka! Eureka!”と叫んだあと、浴室から飛び出して、裸のままシラクサ(シチリア)の街を駆けたと伝えられているが、その古代都市のシラクサにちなんだ町もニューヨーク州にシラキュース Sylacuse としてある。
聖書にちなんだものも多い。ノースカロライナ州のイーデンはエデン、ペンシルバニア州のエメーアスはルカ伝のエマオだ。セーレム Salem(エルサレム)は、アメリカ合衆国には、大きな町でも十数カ所、小さな町や村まで入れると30から40もあるといわれる。エルサレムが、ユダヤ教、キリスト教の共通の聖地だという理由もあるが、その名がヘブライ語で「平和」を 意味することも好まれた理由のひとつであろう。