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三浦春馬“絶好調”の『カネ恋』と相次ぐ訃報…いま必要な“謙虚さ”とは

CDB

2020/10/06

 

『カネ恋』は10月6日の放送、第4話で最終回を迎える。それがどのような内容になるのか、この記事を書いている現時点ではまだわからない。もとより、8話で放送する予定で書かれた脚本を4話で綺麗に終わらせるのは不可能だろう。

 三浦春馬の訃報のあと、ほとんどのメディアはこのドラマについて「代役も難しく、コメディタッチのドラマでは雰囲気にも合わない。お蔵入りの可能性が高い」と予測した。だが、たとえ不完全な短縮の形になってもこのドラマを再構成して放送しようと踏み切ったのは、三浦春馬が最後に残した映像を世に残しておきたいという作り手の意志だったのではないだろうか。

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「爆心地」にいた松岡茉優の気遣い

 このドラマの初回放送前には、新作ドラマの放送前につきものの情報番組ジャックやバラエティ番組回りがほとんど行われなかった。SNSのドラマ公式アカウントも最小限の更新にとどめる配慮がなされた。

 松岡茉優は自分のラジオ番組で、「まっさらな正解はないだろうなと思います」「とても個人的な気持ちとして、相手役としてお芝居を受けていた身として、あのすばらしい猿渡慶太をみなさまに見てほしい。サル君は彼しかいない」と語り、同時に「もう一つ、強く願っているのは、これ以上みなさまを、つらくさせるのは避けたいです。私たちはこの物語を全力で作ってますが、受け取れないかも、つらくて見られないかもしれない、という方はどうかご無理なさらないでください」とファンを思いやった。

松岡茉優 ©getty

 突然の死は、残された周囲の人間に衝撃を与える。3月にミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド』で三浦春馬と共演した生田絵梨花は、彼の訃報と同じ7月18日に放送された「音楽の日」の生放送本番を欠席せざるを得なかった。人気アイドルグループの主軸とミュージカル女優という過酷な兼務を驚異的なタフさで両立してきた彼女を、突然の死の知らせは立ち上がれないほどに叩きのめした。同じ生放送に衝撃を抱えて出演した城田優は歌の間に涙を流した。

 最後の日の前日まで三浦春馬と共演し、恋人役を演じていた松岡茉優は、いわばその衝撃の爆心地にいたことになる。心身にダメージを受けていないはずがない。それでもドラマを、たとえ4話完結という作品として不完全な形に再構成しても放送することを決意したのは、前日まで自分をサポートすると語ってくれた三浦春馬を今度は松岡茉優がサポートし、彼の最後の仕事を世に残すためだったのではないか。