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水野 ハハハハ。このドラマもすごく分かりやすい王道で、「ドラマを作りたかった」っていうスタッフたちの気持ちがすごく伝わってきますよ。で、その中でも、一番すごいと思うのが、制作したHTB(北海道テレビ)さんが、自分たちの電波じゃなくてNetflixにあげたんです。ドラマの制作費って、北海道地区だけにしか放送しない広告費では採算が合わないんですよ。でも、Netflixと組めば世界に配信ができて、かつ制作費がもらえる!

 へえ!

水野 交渉条件だったとは思うんですが、「チャンネルはそのまま!」は、Netflixで放送した後に、自局の北海道テレビで放送をしたんです。 

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 それをOKって出来るテレビ局強いなー!

水野 さらに、北海道テレビが放送したら、なんかこれ面白そうだぞって、テレ朝系の違う地区のローカル局が放送したんです。そうすると、段々話題になり始めるじゃないですか。最後には、この番組が民放連の賞のグランプリを獲ったんです。

 へー、きっかけは民放連じゃないのにね。

水野 最終的に何が起きたかというと、このグランプリを獲った記念にテレ朝が全国ネットで放送したんです!!

 すごい戻り方してんなー! 中央を動かしたってことですよね。

水野 そうです! そのサクセスストーリーでやっぱり面白いのは、「テレビ制作者の舞台はとっくに地上波だけじゃない! “偉いさん”に忖度しなくていい!」ってこと!

 ハハハハ!! めっちゃめちゃ切れ味いいですね!

水野 ハハハハ。

 「ヤバイそれ言わんといて!」ってスパーンと首をイカれた人、何人かいるんじゃないかな? でも、気持ちいいぐらいの正論だな。

水野 地上波の企画ってOAされるまでに編成・営業、そして役員の思いもかかわってくるんですよね。だから皆さんを説得し切るっていうのはすごく時間がかかる。それで、北海道テレビの藤村さんに後から聞いたんですが、「チャンネルはそのまま!」は「キー局のテレビ朝日には、そもそも通そうとも思わなかった」って言ってたんですよ。

 1個1個、順を追って、皆さんのOKを貰わないといけないスピードでは、新しいメディアには勝てないじゃないですか? もちろん制作費がNetflixから出ていても、苦労があったと思います。ただ、その辺のやりくりもすごく上手なんです。例えば、セットとしてテレビ局が2つ登場するんですけど、工夫があるんです! 見てください。

「チャンネルはそのまま!」主人公が務める「☆テレビ」、そしてライバル局の「ひぐまテレビ」。2つのテレビ局が出てくるシーンを見る2人。©MBS