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政治家の引きずりおろしが目的化?
彼らは社会というものを、まずは自分たちの手が届く範囲から良くしていこうと思っているのです。これは真っ当なリアリズムに基づくものです。たかが一度や二度の投票行動などで社会が変わらないことを知っているからこそ、自分に何ができるかをしっかりと考えたうえで、自分が住んでいる地域、あるいは働いている職場で「スモールな社会変革」を実践しているのです。これは決して選挙を軽視しているわけではなく、政治の限界を弁えたうえで選挙運動に参加し、ローカルな単位での社会変革も進めていく立場です。しかし、コミュニティ的な所属がなく、社会的に孤立し、仲間内というものに与れていない人ほど、政治家の強権発動によって社会が一挙に救済される夢を見るようになります。その発想の逆バージョンが「敵認定」した政治家を引きずり下ろすことで社会が一挙に救済される夢を見ることなのです。どちらも同じ穴のムジナです。
「政治家を引きずり下ろす政治家」待望論
他方、このようなヘイト・エコノミー(憎悪経済)を基盤とする「『いいね!』戦争」の氾濫が、かえって「政治的無関心」「政治離れ」に拍車を掛ける恐れがあります。
朝日新聞社が参院選直後の2019年7月に実施した世論調査で、低投票率の理由を尋ねたところ、「投票しても政治は変わらない」が最多の43%に上りました。次いで「政治に関心がない」が32%を占めました。18~29歳の若年層に限ると、その割合は逆転して前者が38%、後者が48%と無関心が上回りました(「『政治変わらぬ』最多43% 参院選、低投票率の理由 朝日新聞社世論調査」朝日新聞デジタル)。