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賞金額は1億円! KEIRINグランプリを競う新田祐大、脇本康太は「東京五輪」のメダル候補

『競輪という世界』より

source : 文春新書

genre : エンタメ, 社会, 読書, スポーツ

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人気投票第1位の選手

 脇本雄太 ワールドカップで金、人気投票1位

 1989年3月21日生まれ 2008年デビュー

 G1優勝3回 獲得賞金5億8613万円

 2019年の競輪ファンによる人気投票第1位。この年、ファンからの支持を最も多く集め、ファン投票の上位9人で争われる「ドリームレース」を制したのが脇本雄太である。

 脇本は先行して逃げ切るという、風圧をものともしない潔い勝ちっぷりで名を成してきた。勝負勘といい、その脚力といい、いわゆる自転車エリートを想像するが、意外にも中学までは自転車とは無縁の生活を送ってきた。母子家庭で育ち、少年時代は虫の観察が好きな優しい子。中学時代も科学部だった。もしも自転車競技部のある高校に進学していなければ、今の姿はなかったのかもしれない。

©iStock.com

 友人に誘われ、福井県立科学技術高校で自転車競技を始めると、瞬く間にその才能が開花。国体の少年男子1キロタイムトライアルで2年連続の優勝を果たした。その時のタイムは成年の部の優勝者よりも速かった。

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 競輪学校には適性試験免除で入学し、在校11位の成績で卒業。2008年のプロデビュー戦で初勝利を飾っている。だが、本人が「もともと競輪よりもケイリンで闘いたかった」と言うように、競輪のトップ選手に登りつめる一方で、オリンピック種目であるケイリンにも強い関心を抱き続けてきた。