「これまでにないほどの屈辱」
念願叶って、初めて出場したのが前回のリオデジャネイロ五輪。ここで脇本は「これまでにないほどの屈辱」を味わう。ケイリン種目の1回戦で、7人中6着で敗退。強気の鼻っ柱をへし折られたのだ。
これまでの実績をすべて捨て、一から自分を見つめ直したいと考えていた脇本にとって、新たにナショナルチームのコーチに就任したブノワとの邂逅は、まさに絶妙のタイミングであっただろう。これまでは1日に8時間自転車に乗ってきたが、ブノワはそれを3時間に短縮。限られた時間に強度の高い練習を集中して行うことで、かえって脚力は磨かれ、メンタルも強くなった。
成果は早くも現れ、2017年12月のトラックワールドカップ第4戦ケイリンで、脇本は日本人として14年振り3人目の金メダルを獲得した。競輪でも、手が届きそうで届かなかったG1レースを18年には一気に2勝するなど、勢いに乗っている。ファン投票1位は、ファンが今、もっとも強い競輪選手として脇本を認めた証である。
脇本と新田がダブルエースとして挑む可能性の高い東京オリンピックで、2人がともに表彰台に立つのも夢ではない。真のスーパースターになるための挑戦は、まだ始まったばかりだ。
平原康多 24時間、競輪のことだけを
1982年6月11日生まれ 2002年デビュー
G1優勝7回 獲得賞金11億9728万円
身長185センチ、体重95キロ。めぐまれた体躯は、肉体モンスターがひしめく競輪界でもひときわ目を惹く。平原康多(埼玉)は競輪界で今、もっとも強いと言われる選手の1人だ。
新田や脇本が競輪とケイリンの二足のわらじを履くのに対して、平原は競輪一筋。ナショナルチームから声が掛かっても、その姿勢を崩したことがない。