無鉄砲な二人が家の中へ。威勢の良い吠え声がパタリと止み……
ある日の夜、その不良グループは5人ほどのメンバーを募り、人気もすっかりなくなった村の一角にある“例の家”の前に集まった。
「いやぁー、マジ来ちゃったな。生で見ると半端ないよこれ……」
「なんかさぁ……さっきからめっちゃ臭くね? なにこれ、血の匂い?」
「なに、ビビってんの? じゃあお前らそこいろよ、俺ら行ってくっから!」
メンバーの中でもとりわけ無鉄砲な二人は、みなの注目を集めようと、突如として家に向かって飛び出していってしまったのだという。
「うーわ……行っちゃったよ……」
「ほっとけよ、どうせすぐ戻ってくるしタバコでも吸ってようぜ」
残されたメンバーは、真っ暗な廃屋から漏れ出る懐中電灯の明かりを眺め、そして時折上がる彼らの「おーい! 誰かいますかぁー!」「おい出てこいやコラァ!」という叫び声を聞きながら、二人の帰還を待っていたのだそうだ。
だが、一向に出てこない。それどころか、さっきまで聞こえていた威勢の良い吠え声もパタリと止んでしまったのだ。流石に心配したメンバーが渋々家の中に入っていく。
「マジで気持ち悪いな、ここ……」
「うん……。でも、なんか“子供産むならここが良いな”って感じしない?」
「たしかに……」
そんな、後から思うと奇妙な会話を交わしながら、一行はボロボロになった大広間のような場所で二人を見つけたという。しかし、その様子は明らかにおかしかった。
床に二人してぼーっと座っていたというのだ。
「おい、何してんだよ、お前ら! もう行くぞ!」
「え、うーん……そうかぁ……」
二人は残りのメンバーに抱きかかえられるようにして廃屋を後にした。その後、二人に中で何を見たのか聞くも「いやぁ……別に……」「うん。別にねぇ……」と、要領を得ない返事しか返ってこなかったのだそうだ。そのことに妙な気持ち悪さを感じ、その日はそのままお開きとなったという。
その一週間後に、廃屋に入った二人は死亡したのだそうだ。