伝染する“例の家”の呪い……不良グループが口にした“予言”とは?
「え、死んだの!?」
Tさんの話を聞いていた当時のかぁなっき氏は、その予期せぬ展開に面食らったという。
「うん……しかもその死に様がさ、どう考えても普通じゃないんだよ」
廃屋に入った一人目は、その後、肝試し以降腑抜けた様子だったこともあり、不良グループの別メンバーに気遣われ、彼の家で飲み会を開いたのだそうだ。だが、彼は全然酒も飲まず、飲み会は早々にお開きになってしまったという。
彼の住むマンションから友人たちが引き上げ、ぞろぞろと外廊下に出始めたとき、メンバーの一人が、何の気なしに夜空を見上げ「しかし、今日星キレイだよなぁ~」と呟いた。
その瞬間に事件は起きた。
「でもさぁー あしたは ゆうがたから あめがふるよぉ」
全員がその奇怪に間延びした彼の声に振り返る。部屋の中の彼はドアの向こうの夜空を凝視しながら、
「でもさぁー あしたは ゆうがたから あめがふるよぉ」
そう言うと、部屋から駆け出し、外廊下の手すりを越えて飛び降り自殺で即死してしまったのだそうだ。
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二人目の彼には、半同棲している彼女がいた。
肝試し以降、もう一人と同様に惚けていた彼を見かねて、連日献身的に寄り添っていたという。
その日も、同じように身の回りの世話をし、夕方には彼の部屋を出ようとしたそうだ。
「じゃあ、一旦帰るけど、なんかあったら電話してね!」
「うぅーん でも たいへんだねぇ あした すごい くれーまー くるじゃぁん」
「え?」
「くれーまー くるじゃぁん」
「……変なの」
翌日、彼女の働くバイト先には厄介なクレーマーが現れ、彼女はその対応でてんてこ舞いになってしまったそうだ。そしてその日の夜、疲れ切った彼女は彼に電話をかけたそうだが、一向につながらなかった。訝しんだ彼女が彼の家を訪れると……。
彼は、前日彼女を見送ったときのままの状態で、座ったまま心不全で死んでいたのだそうだ。